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化学物質
酸化カルシウム

酸化カルシウム

更新日：2023/3/19

酸化カルシウム（Calcium oxide）は，化学式 CaO で表される無機化合物です。

名称

物質名称一覧

命名法

Nomenclature

名称

Name

代表的名称
Typical name: 酸化カルシウム; Calcium oxide

組成命名法
Compositional nomenclature: 酸化カルシウム; Calcium oxide

化学式と構造

化学式一覧

化学式名称

Formula name

化学式

Formula

代表的化学式
Typical formula: CaO

組成式
Compositional formula: CaO

構造式
Structural formula

電子式 (ルイス構造式)
Lewis structure

電子式 (ルイス構造式, 色付き)
Colored Lewis structure

物質情報

物質情報一覧

項目

Item

値

Value

名称
Name: 酸化カルシウム; Calcium oxide

化学式
Formula: CaO

外観
Appearance: 無色の固体; Colorless solid

臭気
Odor: 無臭; Odorless

モル質量
Molar mass: 56.077 g/mol

密度
Density: 3.34 g/cm³^[1][2]
固体

融点
Melting point: 2900 °C^[1]; 2613 °C^[2]

沸点
Boiling point: 3500 °C^[1]

構成要素

構成イオン

イオン Ion	名称 Name	電荷数 Charge number	個数 Number
Ca²⁺	カルシウムイオン	2	1
O²⁻	酸化物イオン	-2	1

構成原子

原子 Atom	名称 Name	酸化数 Oxidation state	個数 Number
Ca	カルシウム	+2	1
O	酸素	−2	1

原子の比率

原子 Atom	原子量 Atomic weight	個数 Number	原子比率 Atomic ratio	重量比率 Weight ratio
Ca	40.078	1	50.00%	71.47%
O	15.999	1	50.00%	28.53%

熱力学的性質

相転移特性

項目

Item

値

Value

融解熱
Enthalpy of fusion: 79.5 kJ · mol⁻¹^[1]
at 2900°C; 80 kJ · mol⁻¹^[2]
at 2613°C

蒸発熱
Enthalpy of vaporization: –

蒸発熱 (25°C)
Enthalpy of vaporization at 25°C: –

その他転移エンタルピー
Enthalpy of other transition: –

標準熱力学特性

状態 State	標準生成エンタルピー Δ_fH° kJ · mol⁻¹	標準生成ギブスエネルギー Δ_fG° kJ · mol⁻¹	標準モルエントロピー S° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準モル定圧熱容量 C_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
結晶性固体	−635.09^[3]	−604.03^[3]	39.75^[3]	42.80^[3]
気体	–	–	–	–

溶解度

溶解性

反応 Reactive: H₂O水

混和 Miscible

易溶 Very soluble

可溶 Soluble: HA^[1]酸

微溶 Slightly soluble: H₂O水

難溶 Very slightly soluble

不溶 Insoluble

水への溶解度 (g/100 g)^[4]

0°C	10°C	20°C	25°C	30°C	40°C	50°C	60°C	70°C	80°C	90°C	100°C
0.14	0.133	0.125	0.12	0.116	0.107	0.097	0.088	0.08	0.071	0.064	0.058

溶融塩化カルシウムへの溶解度 (g/100 g)^[4]

910°C
16.2

溶解度曲線 (g/100 g)

危険有害性

GHSラベル^[5]

項目

Item

値

Value

危険有害性絵表示
Hazard pictograms: GHS07: 感嘆符; GHS05: 腐食; GHS08: 健康有害性

注意喚起語
Signal word: 危険

危険有害性情報
Hazard statements: H315: 皮膚刺激性; H318: 重篤な眼損傷性; H370: 臓器への傷害; H370: 呼吸器系への傷害; H372: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害; H372: 長期, または反復ばく露による呼吸器系への傷害

物理的危険性^[5]

分類	区分	表示	危険有害性情報
爆発物	分類対象外
引火性気体	分類対象外
エアゾール	分類対象外
酸化性気体	分類対象外
高圧ガス	分類対象外
引火性液体	分類対象外
引火性固体	区分外
自己反応性化学品	分類対象外
自然発火性液体	分類対象外
自然発火性固体	区分外
自己発熱性化学品	区分外
水反応引火性化学品	区分外
酸化性液体	分類対象外
酸化性固体	分類不可 (データ不足)
有機過酸化物	分類対象外
金属腐食性物質	分類不可 (データ不足)
鈍性化爆発物	データなし

健康有害性^[5]

分類	区分	表示	危険有害性情報
急性経口毒性	区分外
急性経皮毒性	分類不可 (データ不足)
急性吸入毒性 (気体)	分類対象外
急性吸入毒性 (蒸気)	分類対象外
急性吸入毒性 (粉塵・ミスト)	分類不可 (データ不足)
皮膚腐食性/刺激性	区分2	警告	H315: 皮膚刺激性
重篤な眼損傷性/眼刺激性	区分1	危険	H318: 重篤な眼損傷性
呼吸器感作性	分類不可 (データ不足)
皮膚感作性	分類不可 (データ不足)
生殖細胞変異原性	分類不可 (データ不足)
発がん性	分類不可 (データ不足)
生殖毒性	分類不可 (データ不足)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)	区分1 (呼吸器系)	危険	H370: 臓器への傷害 H370: 呼吸器系への傷害
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)	区分1 (呼吸器系)	危険	H372: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害 H372: 長期, または反復ばく露による呼吸器系への傷害
誤えん有害性	分類不可 (データ不足)

環境有害性^[5]

分類	区分	表示	危険有害性情報
水生環境有害性 (短期)	分類不可 (データ不足)
水生環境有害性 (長期)	分類不可 (データ不足)
オゾン層への有害性	分類不可 (データ不足)

製法

金属と非金属の反応

金属と非金属が反応すると，酸化カルシウムが生成する場合があります。

カルシウムと酸素の反応 ◆ Δ_rG −1208.06 kJ/mol K 4.39 × 10²¹¹ pK −211.64: 2Caカルシウム + O₂酸素
⟶
2CaO酸化カルシウム

カルシウムとオゾンの反応 ◆ Δ_rG −1975.3 kJ/mol K 1.14 × 10³⁴⁶ pK −346.06: 3Caカルシウム + O₃オゾン
⟶
3CaO酸化カルシウム

水酸化物塩基と脱水性塩基性酸化物の反応

水酸化物塩基と脱水性塩基性酸化物が反応すると，酸化カルシウムが生成する場合があります。

水酸化カルシウムと酸化ナトリウムの反応 ◆ Δ_rG −89.07 kJ/mol K 4.02 × 10¹⁵ pK −15.60: Ca(OH)₂水酸化カルシウム + Na₂O酸化ナトリウム
⟶
CaO酸化カルシウム + 2NaOH水酸化ナトリウム

水酸化カルシウムと酸化カリウムの反応 ◆ Δ_rG −141.6 kJ/mol K 6.42 × 10²⁴ pK −24.81: Ca(OH)₂水酸化カルシウム + K₂O酸化カリウム
⟶
CaO酸化カルシウム + 2KOH水酸化カリウム

水酸化カルシウムと酸化ストロンチウムの反応: Ca(OH)₂水酸化カルシウム + SrO酸化ストロンチウム
⟶
CaO酸化カルシウム + Sr(OH)₂水酸化ストロンチウム

水酸化カルシウムと酸化ルビジウムの反応: Ca(OH)₂水酸化カルシウム + Rb₂O酸化ルビジウム
⟶
CaO酸化カルシウム + 2RbOH水酸化ルビジウム

水酸化カルシウムと酸化セシウムの反応 ◆ Δ_rG −295.90 kJ/mol K 6.91 × 10⁵¹ pK −51.84: Ca(OH)₂水酸化カルシウム + Cs₂O酸化セシウム
⟶
CaO酸化カルシウム + 2CsOH水酸化セシウム

分解反応

熱分解性物質が分解すると，酸化カルシウムが生成する場合があります。

水酸化カルシウムの分解 ◆ Δ_rG 57.33 kJ/mol K 0.90 × 10⁻¹⁰ pK 10.04: Ca(OH)₂水酸化カルシウム
🔥
⟶
CaO酸化カルシウム + H₂O水

炭酸カルシウムの分解 ◆ Δ_rG 129.36 kJ/mol K 0.22 × 10⁻²² pK 22.66: CaCO₃炭酸カルシウム
🔥
⟶
CaO酸化カルシウム + CO₂↑二酸化炭素

メタケイ酸カルシウムの分解 ◆ Δ_rG 88.99 kJ/mol K 0.26 × 10⁻¹⁵ pK 15.59: CaSiO₃メタケイ酸カルシウム
🔥
⟶
CaO酸化カルシウム + SiO₂二酸化ケイ素

リン酸カルシウムの分解 ◆ Δ_rG 1447.5 kJ/mol K 0.26 × 10⁻²⁵³ pK 253.59: 2Ca₃(PO₄)₂リン酸カルシウム
🔥
⟶
6CaO酸化カルシウム + P₄O₁₀十酸化四リン

亜硫酸カルシウムの分解: CaSO₃亜硫酸カルシウム
🔥
⟶
CaO酸化カルシウム + SO₂↑二酸化硫黄

非金属と水酸化物塩基の反応

非金属と水酸化物塩基が反応すると，酸化カルシウムが生成する場合があります。

ホウ素と水酸化カルシウムの反応 ◆ Δ_rG −622.8 kJ/mol K 1.29 × 10¹⁰⁹ pK −109.11: 8Bホウ素 + 6Ca(OH)₂水酸化カルシウム
⟶
CaB₄O₇四ホウ酸カルシウム + 2B₂H₆↑ジボラン(6) + 5CaO酸化カルシウム

リンと水酸化カルシウムの反応 ◆ Δ_rG −1666.9 kJ/mol K 1.07 × 10²⁹² pK −292.03: 16Pリン + 15Ca(OH)₂水酸化カルシウム
⟶
3Ca₃(PO₄)₂リン酸カルシウム + 10PH₃↑ホスフィン + 6CaO酸化カルシウム

ヒ素と水酸化カルシウムの反応 ◆ Δ_rG 1353.5 kJ/mol K 0.75 × 10⁻²³⁷ pK 237.12: 16Asヒ素 + 15Ca(OH)₂水酸化カルシウム
🔥
⟶
3Ca₃(AsO₄)₂ヒ酸カルシウム + 10AsH₃↑アルシン + 6CaO酸化カルシウム

活性金属と水の反応

カルシウムと水が反応すると，酸化カルシウムと水素が生成します。

カルシウムと水の反応 ◆ Δ_rG −366.90 kJ/mol K 1.90 × 10⁶⁴ pK −64.28: Caカルシウム + H₂O水
⟶
CaO酸化カルシウム + H₂↑水素

化学反応

酸との反応

酸化カルシウムと酸が反応すると，塩と水が生成します。

酸化カルシウムとフッ化水素の反応 ◆ Δ_rG −254.0 kJ/mol K 3.15 × 10⁴⁴ pK −44.50: CaO酸化カルシウム + 2HFフッ化水素
⟶
CaF₂フッ化カルシウム + H₂O水

酸化カルシウムと塩化水素の反応 ◆ Δ_rG −190.6 kJ/mol K 2.46 × 10³³ pK −33.39: CaO酸化カルシウム + 2HCl塩化水素
⟶
CaCl₂塩化カルシウム + H₂O水

酸化カルシウムと臭化水素の反応 ◆ Δ_rG −189.8 kJ/mol K 1.78 × 10³³ pK −33.25: CaO酸化カルシウム + 2HBr臭化水素
⟶
CaBr₂臭化カルシウム + H₂O水

酸化カルシウムとヨウ化水素の反応 ◆ Δ_rG −165.4 kJ/mol K 9.48 × 10²⁸ pK −28.98: CaO酸化カルシウム + 2HIヨウ化水素
⟶
CaI₂ヨウ化カルシウム + H₂O水

酸化カルシウムと硫化水素の反応 ◆ Δ_rG −76.9 kJ/mol K 2.97 × 10¹³ pK −13.47: CaO酸化カルシウム + H₂S硫化水素
⟶
CaS硫化カルシウム + H₂O水

還元性化学種との反応

還元性化学種と酸化カルシウムが反応すると，種々の生成物が生成します。

ナトリウムと酸化カルシウムの反応 ◆ Δ_rG 228.57 kJ/mol K 0.90 × 10⁻⁴⁰ pK 40.04: 2Naナトリウム + CaO酸化カルシウム
🔥
⟶
Na₂O酸化ナトリウム + Caカルシウム

水素と酸化カルシウムの反応 ◆ Δ_rG 309.57 kJ/mol K 0.58 × 10⁻⁵⁴ pK 54.23: H₂水素 + 2CaO酸化カルシウム
🔥
⟶
Caカルシウム + Ca(OH)₂水酸化カルシウム

炭素と酸化カルシウムの反応 ◆ Δ_rG 684.34 kJ/mol K 0.13 × 10⁻¹¹⁹ pK 119.89: C炭素 + 3CaO酸化カルシウム
🔥
⟶
2Caカルシウム + CaCO₃炭酸カルシウム

酸化性化学種との反応

酸化カルシウムと塩素が反応すると，塩化カルシウムと酸素が生成します。

酸化カルシウムと塩素の反応 ◆ Δ_rG −288.1 kJ/mol K 2.97 × 10⁵⁰ pK −50.47: 2CaO酸化カルシウム + 2Cl₂塩素
⟶
2CaCl₂塩化カルシウム + O₂酸素

参考文献

参考文献一覧

1
James G. Speight (2017)
Lange's Handbook of Chemistry, 17th edition
https://www.accessengineeringlibrary.com/content/book/9781259586095
McGraw Hill Education
- Amazon
引用リスト
- ^ 密度, 3.34 g/cm³ - p.37
- ^ 融点, 2900 °C - p.37
- ^ 沸点, 3500 °C - p.37
- ^ 融解熱, 79.5 kJ · mol⁻¹ - p.298
- ^ 溶解性, 酸に可溶 - p.37
2
John R. Rumble Jr, David R. Lide, Thomas J. Bruno (2019)
CRC Handbook of Chemistry and Physics 100th Edition
https://www.routledge.com/CRC-Handbook-of-Chemistry-and-Physics/book-series/CRCHANCHEPHY
CRC Press
- Amazon
引用リスト
- ^ 密度, 3.34 g/cm³ - p.4-43
- ^ 融点, 2613 °C - p.4-43
- ^ 融解熱, 80 kJ · mol⁻¹ - p.6-154
3
Janiel J. Reed (1989)
The NBS Tables of Chemical Thermodynamic Properties: Selected Values for Inorganic and C1 and C2 Organic Substances in SI Units
https://doi.org/10.18434/M32124
National Institute of Standards and Technology (NIST)
引用リスト
4
Atherton Seidell (1919)
Solubilities of Inorganic and Organic Compounds: A Compilation of Quantitative Solubility Data From the Periodical Literature
D. Van Nostrand Company
- Amazon
引用リスト
- ^ 水への溶解度 (g/100 g), 表を参照 - p.202
- ^ 溶融塩化カルシウムへの溶解度 (g/100 g), 表を参照 - p.210
5
化学物質管理センター
GHS分類結果
https://www.nite.go.jp/chem/ghs/all_fy.html
独立行政法人製品評価技術基盤機構
引用リスト

Δ_rG	−1208.06 kJ/mol
K	4.39 × 10²¹¹
pK	−211.64

Δ_rG	−1975.3 kJ/mol
K	1.14 × 10³⁴⁶
pK	−346.06

Δ_rG	−89.07 kJ/mol
K	4.02 × 10¹⁵
pK	−15.60

Δ_rG	−141.6 kJ/mol
K	6.42 × 10²⁴
pK	−24.81

酸化カルシウム

名称

物質名称一覧

化学式と構造

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物質情報

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構成要素

構成イオン

構成原子

原子の比率

熱力学的性質

相転移特性

標準熱力学特性

溶解度

溶解性

水への溶解度 (g/100 g)[4]

溶融塩化カルシウムへの溶解度 (g/100 g)[4]

溶解度曲線 (g/100 g)

危険有害性

GHSラベル[5]

物理的危険性[5]

健康有害性[5]

環境有害性[5]

製法

金属と非金属の反応

水酸化物塩基と脱水性塩基性酸化物の反応

分解反応

非金属と水酸化物塩基の反応

活性金属と水の反応

化学反応

酸との反応

酸性酸化物との反応

水との反応

水酸化物塩基との反応

還元性非金属との反応

還元性化学種との反応

酸化性化学種との反応

参考文献

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関連物質

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塩基

カルシウム塩

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物質の状態

物質の性質

物質の溶解性

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水への溶解度 (g/100 g)^[4]

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物理的危険性^[5]

健康有害性^[5]

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