ヒ酸鉄(III)
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ヒ酸鉄(III)(Iron(III) arsenate)は,化学式 FeAsO4 で表される無機化合物です。
目次
名称
物質名称一覧
命名法
Nomenclature
名称
Name
- 代表的名称
- Typical name
- ヒ酸鉄(III)
- Iron(III) arsenate
- 組成命名法
- Compositional nomenclature
- ヒ酸鉄(III)
- Iron(III) arsenate
- 付加命名法
- Additive nomenclature
- テトラオキシドヒ酸(3−)鉄(3+)
- Iron(3+) tetraoxidoarsenate(3−)
- 別名
- Other names
- ヒ酸第二鉄
- Ferric arsenate
- 砒酸鉄
- Iron arsonate
化学式と構造
化学式一覧
化学式名称
Formula name
化学式
Formula
- 代表的化学式
- Typical formula
- FeAsO4
- 組成式
- Compositional formula
- FeAsO4
- 構造式
- Structural formula
- その他の構造式
- Other structural formulas
- 電子式 (ルイス構造式)
- Lewis structure
- 電子式 (ルイス構造式, 色付き)
- Colored Lewis structure
物質情報
物質情報一覧
項目
Item
値
Value
- 名称
- Name
- ヒ酸鉄(III)
- Iron(III) arsenate
- 化学式
- Formula
- FeAsO4
- 外観
- Appearance
- 緑色の固体
- Green solid
- 青緑色の固体
- Blue green solid
- 灰色の固体
- Gray solid
- 灰緑色の固体
- Grayish green solid
- 青色の固体
- Blue solid
- 黄褐色の固体
- Yellow brown solid
- 菫色の固体
- Violet solid
- 臭気
- Odor
- 無臭
- Odorless
- モル質量
- Molar mass
- 194.763 g/mol
- 密度
- Density
- 3.18 g/cm3[1]固体, 二水和物
- 融点
- Melting point
- 1020 °C[1]二水和物
- 沸点
- Boiling point
- –
構成要素
構成イオン
イオン Ion | 名称 Name | 電荷数 Charge number | 個数 Number |
---|---|---|---|
Fe3+ | 鉄(III)イオン | 3 | 1 |
AsO43− | ヒ酸イオン | -3 | 1 |
構成原子
原子 Atom | 名称 Name | 酸化数 Oxidation state | 個数 Number |
---|---|---|---|
Fe | 鉄 | +3 | 1 |
As | ヒ素 | +5 | 1 |
O | 酸素 | −2 | 4 |
原子の比率
原子 Atom | 原子量 Atomic weight | 個数 Number | 原子比率 Atomic ratio | 重量比率 Weight ratio |
---|---|---|---|---|
Fe | 55.845 | 1 | 16.67% | 28.67% |
As | 74.922 | 1 | 16.67% | 38.47% |
O | 15.999 | 4 | 66.67% | 32.86% |
熱力学的性質
相転移特性
項目
Item
値
Value
- 融解熱
- Enthalpy of fusion
- –
- 蒸発熱
- Enthalpy of vaporization
- –
- 蒸発熱 (25°C)
- Enthalpy of vaporization at 25°C
- –
- その他転移エンタルピー
- Enthalpy of other transition
- –
溶解度
溶解性
危険有害性
GHSラベル[2]
項目
Item
値
Value
- 危険有害性絵表示
- Hazard pictograms
GHS07: 感嘆符 GHS08: 健康有害性
- 注意喚起語
- Signal word
- 危険
- 危険有害性情報
- Hazard statements
- H319: 重篤な眼刺激性
- H350: 発がんのおそれ
- H361: 生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
- H370: 臓器への傷害
- H370: 呼吸器系への傷害
- H370: 神経系への傷害
- H370: 血液系への傷害
- H370: 腎臓への傷害
- H370: 循環器系への傷害
- H370: 消化器系への傷害
- H370: 肝臓への傷害
- H370: 皮膚への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による呼吸器系への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による血液系への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による肝臓への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による腎臓への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による神経系への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による皮膚への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による循環器系への傷害
- H372: 長期, または反復ばく露による消化器系への傷害
物理的危険性[2]
健康有害性[2]
環境有害性[2]
分類 | 区分 | 表示 | 危険有害性情報 |
---|---|---|---|
水生環境有害性 (短期) | 分類不可 (データ不足) | ||
水生環境有害性 (長期) | 分類不可 (データ不足) | ||
オゾン層への有害性 | データなし |
製法
酸と塩基の反応
ヒ酸と水酸化鉄(III)が反応すると,ヒ酸鉄(III)と水が生成します。
塩基と酸性酸化物の反応
水酸化鉄(III)と五酸化二ヒ素が反応すると,ヒ酸鉄(III)と水が生成します。
塩基性酸化物と酸の反応
酸化鉄(III)とヒ酸が反応すると,ヒ酸鉄(III)と水が生成します。
塩基性酸化物と酸性酸化物の反応
酸化鉄(III)と五酸化二ヒ素が反応すると,ヒ酸鉄(III)が生成します。
沈殿反応
水溶液中で鉄(III)イオンとヒ酸イオンが反応すると,ヒ酸鉄(III)の沈殿が生成します。
活性金属と酸の反応
非金属と水酸化物塩基の反応
と水酸化鉄(III)が反応すると,ヒ酸鉄(III)と,酸化鉄(III)が生成します。
非金属と塩基,水の反応
と水酸化鉄(III),水が反応すると,ヒ酸鉄(III)とが生成します。
活性金属と酸性酸化物,水の反応
化学反応
電離反応
ヒ酸鉄(III)が電離すると,鉄(III)イオンとヒ酸イオンが生成します。
強酸との反応
ヒ酸鉄(III)と強酸が反応すると,強酸の塩とヒ酸が生成します。
強塩基との反応
ヒ酸鉄(III)と強塩基が反応すると,強塩基の塩と水酸化鉄(III)が生成します。
還元性化学種との反応
還元性化学種とヒ酸鉄(III)が反応すると,種々の生成物が生成します。
被酸化性化学種との反応 (酸性条件下)
被酸化性化学種とヒ酸鉄(III),水素イオンが反応すると,種々の生成物が生成します。
被酸化性化学種との反応
被酸化性化学種とヒ酸鉄(III)が反応すると,種々の生成物が生成します。
難酸化性化学種との反応 (酸性条件下)
難酸化性化学種とヒ酸鉄(III),水素イオンが反応すると,種々の生成物が生成します。
分解反応
ヒ酸鉄(III)が分解すると,酸化鉄(III)と五酸化二ヒ素が生成します。
加水分解
参考文献
参考文献一覧
- 1James G. Speight (2017)Lange's Handbook of Chemistry, 17th editionMcGraw Hill Education
- ^ 密度, 3.18 g/cm3 - p.48
- ^ 融点, 1020 °C - p.48
- ^ 溶解性, 水に難溶 - p.48
- ^ 溶解性, 酸に可溶 - p.48
- 2