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化学物質
バリウム

バリウム

更新日：2022/3/31

バリウム（Barium）は，化学式 Ba で表される典型元素の単体です。

名称

物質名称一覧

命名法

Nomenclature

名称

Name

代表的名称
Typical name: バリウム; Barium

組成命名法
Compositional nomenclature: バリウム; Barium

化学式と構造

化学式一覧

化学式名称

Formula name

化学式

Formula

代表的化学式
Typical formula: Ba

組成式
Compositional formula: Ba

構造式
Structural formula

電子式 (ルイス構造式)
Lewis structure

電子式 (ルイス構造式, 色付き)
Colored Lewis structure

物質情報

物質情報一覧

項目

Item

値

Value

名称
Name: バリウム; Barium

化学式
Formula: Ba

外観
Appearance: 銀白色の固体; Silver white solid

臭気
Odor: 無臭; Odorless

モル質量
Molar mass: 137.327 g/mol

密度
Density: 3.51 g/cm³^[1]
固体, 20°C; 3.62 g/cm³^[2]
固体

融点
Melting point: 726.9 °C^[1]; 727 °C^[2]

沸点
Boiling point: 1845 °C^[1]; ≈1845 °C^[2]

構成要素

構成原子

原子 Atom	名称 Name	酸化数 Oxidation state	個数 Number
Ba	バリウム	0	1

原子の比率

原子 Atom	原子量 Atomic weight	個数 Number	原子比率 Atomic ratio	重量比率 Weight ratio
Ba	137.327	1	100.00%	100.00%

熱力学的性質

相転移特性

項目

Item

値

Value

融解熱
Enthalpy of fusion: 7.12 kJ · mol⁻¹^[1][2]
at 726.9°C

蒸発熱
Enthalpy of vaporization: 140.3 kJ · mol⁻¹^[1]
at 1845°C; 140 kJ · mol⁻¹^[2]
at ≈1845°C

蒸発熱 (25°C)
Enthalpy of vaporization at 25°C: –

その他転移エンタルピー
Enthalpy of other transition: –

標準熱力学特性

状態 State	標準生成エンタルピー Δ_fH° kJ · mol⁻¹	標準生成ギブスエネルギー Δ_fG° kJ · mol⁻¹	標準モルエントロピー S° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準モル定圧熱容量 C_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
結晶性固体	0^[3]	0^[3]	62.8^[3]	28.07^[3]
気体	180.^[3]	146.^[3]	170.243^[3]	20.786^[3]

溶解度

溶解性

反応 Reactive: H₂O^[1]水

混和 Miscible

易溶 Very soluble

可溶 Soluble

微溶 Slightly soluble

難溶 Very slightly soluble

不溶 Insoluble

危険有害性

GHSラベル^[4]

項目

Item

値

Value

危険有害性絵表示
Hazard pictograms: GHS02: 炎; GHS07: 感嘆符; GHS08: 健康有害性

注意喚起語
Signal word: 危険

危険有害性情報
Hazard statements: H261: 水に触れると, 引火性の気体を発生; H315: 皮膚刺激性; H319: 重篤な眼刺激性; H370: 臓器への傷害; H370: 神経系への傷害; H370: 心血管系への傷害; H370: 消化管への傷害; H370: 筋肉系への傷害; H335: 呼吸器刺激のおそれ; H372: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害; H372: 長期, または反復ばく露による心血管系への傷害; H372: 長期, または反復ばく露による神経系への傷害; H372: 長期, または反復ばく露による筋肉系への傷害; H372: 長期, または反復ばく露による腎臓への傷害

物理的危険性^[4]

分類	区分	表示	危険有害性情報
爆発物	分類対象外
引火性気体	分類対象外
エアゾール	分類対象外
酸化性気体	分類対象外
高圧ガス	分類対象外
引火性液体	分類対象外
引火性固体	分類不可 (データ不足)
自己反応性化学品	分類対象外
自然発火性液体	分類対象外
自然発火性固体	分類不可 (データ不足)
自己発熱性化学品	分類不可 (データ不足)
水反応引火性化学品	区分2	危険	H261: 水に触れると, 引火性の気体を発生
酸化性液体	分類対象外
酸化性固体	区分外
有機過酸化物	分類対象外
金属腐食性物質	分類不可 (データ不足)
鈍性化爆発物	データなし

健康有害性^[4]

分類	区分	表示	危険有害性情報
急性経口毒性	分類不可 (データ不足)
急性経皮毒性	分類不可 (データ不足)
急性吸入毒性 (気体)	分類対象外
急性吸入毒性 (蒸気)	分類対象外
急性吸入毒性 (粉塵・ミスト)	分類不可 (データ不足)
皮膚腐食性/刺激性	区分2	警告	H315: 皮膚刺激性
重篤な眼損傷性/眼刺激性	区分2A	警告	H319: 重篤な眼刺激性
呼吸器感作性	分類不可 (データ不足)
皮膚感作性	分類不可 (データ不足)
生殖細胞変異原性	分類不可 (データ不足)
発がん性	分類不可 (データ不足)
生殖毒性	分類不可 (データ不足)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)	区分1 (神経系, 心血管系, 消化管, 筋肉系)	危険	H370: 臓器への傷害 H370: 神経系への傷害 H370: 心血管系への傷害 H370: 消化管への傷害 H370: 筋肉系への傷害
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)	区分3 (気道刺激)	警告	H335: 呼吸器刺激のおそれ
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)	区分1 (心血管系, 神経系, 筋肉系, 腎臓)	危険	H372: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害 H372: 長期, または反復ばく露による心血管系への傷害 H372: 長期, または反復ばく露による神経系への傷害 H372: 長期, または反復ばく露による筋肉系への傷害 H372: 長期, または反復ばく露による腎臓への傷害
誤えん有害性	分類不可 (データ不足)

環境有害性^[4]

分類	区分	表示	危険有害性情報
水生環境有害性 (短期)	分類不可 (データ不足)
水生環境有害性 (長期)	分類不可 (データ不足)
オゾン層への有害性	分類不可 (データ不足)

製法

溶融塩電解

塩の溶融塩を電気分解すると，バリウムが生成する場合があります。

フッ化バリウムの溶融塩電解 ◆ Δ_rG 1156.8 kJ/mol K 0.22 × 10⁻²⁰² pK 202.66: BaF₂フッ化バリウム
🔥⚡
⟶
Baバリウム + F₂↑フッ素

硫化バリウムの溶融塩電解 ◆ Δ_rG 456 kJ/mol K 0.13 × 10⁻⁷⁹ pK 79.89: BaS硫化バリウム
🔥⚡
⟶
Baバリウム + S硫黄

塩化バリウムの溶融塩電解 ◆ Δ_rG 810.4 kJ/mol K 0.11 × 10⁻¹⁴¹ pK 141.98: BaCl₂塩化バリウム
🔥⚡
⟶
Baバリウム + Cl₂↑塩素

臭化バリウムの溶融塩電解 ◆ Δ_rG 736.8 kJ/mol K 0.83 × 10⁻¹²⁹ pK 129.08: BaBr₂臭化バリウム
🔥⚡
⟶
Baバリウム + Br₂臭素

ヨウ化バリウムの溶融塩電解 ◆ Δ_rG 680.32 kJ/mol K 0.65 × 10⁻¹¹⁹ pK 119.19: BaI₂ヨウ化バリウム
🔥⚡
⟶
Baバリウム + I₂ヨウ素

化学反応

非金属との反応

バリウムと非金属が反応すると，バリウムの二元化合物が生成します。

バリウムと酸素の反応 ◆ Δ_rG −1050.2 kJ/mol K 9.71 × 10¹⁸³ pK −183.99: 2Baバリウム + O₂酸素
⟶
2BaO酸化バリウム

バリウムとフッ素の反応 ◆ Δ_rG −1156.8 kJ/mol K 4.60 × 10²⁰² pK −202.66: Baバリウム + F₂フッ素
⟶
BaF₂フッ化バリウム

バリウムと塩素の反応 ◆ Δ_rG −810.4 kJ/mol K 9.46 × 10¹⁴¹ pK −141.98: Baバリウム + Cl₂塩素
⟶
BaCl₂塩化バリウム

バリウムと臭素の反応 ◆ Δ_rG −736.8 kJ/mol K 1.21 × 10¹²⁹ pK −129.08: Baバリウム + Br₂臭素
⟶
BaBr₂臭化バリウム

バリウムとヨウ素の反応 ◆ Δ_rG −680.32 kJ/mol K 1.54 × 10¹¹⁹ pK −119.19: Baバリウム + I₂ヨウ素
⟶
BaI₂ヨウ化バリウム

酸との反応

バリウムと酸が反応すると，塩と水素が生成します。

バリウムとフッ化水素の反応 ◆ Δ_rG −610.4 kJ/mol K 8.66 × 10¹⁰⁶ pK −106.94: Baバリウム + 2HFフッ化水素
⟶
BaF₂フッ化バリウム + H₂水素

バリウムと塩化水素の反応 ◆ Δ_rG −619.8 kJ/mol K 3.84 × 10¹⁰⁸ pK −108.58: Baバリウム + 2HCl塩化水素
⟶
BaCl₂塩化バリウム + H₂水素

バリウムと臭化水素の反応 ◆ Δ_rG −629.9 kJ/mol K 2.26 × 10¹¹⁰ pK −110.35: Baバリウム + 2HBr臭化水素
⟶
BaBr₂臭化バリウム + H₂水素

バリウムとヨウ化水素の反応 ◆ Δ_rG −560.78 kJ/mol K 1.76 × 10⁹⁸ pK −98.24: Baバリウム + 2HIヨウ化水素
⟶
BaI₂ヨウ化バリウム + H₂水素

バリウムと硫化水素の反応 ◆ Δ_rG −422 kJ/mol K 8.53 × 10⁷³ pK −73.93: Baバリウム + H₂S硫化水素
⟶
BaS硫化バリウム + H₂水素

水との反応

バリウムと水が反応すると，水酸化物塩基/塩基性酸化物と水素が生成します。

バリウムと水の反応 ◆ Δ_rG −288.0 kJ/mol K 2.85 × 10⁵⁰ pK −50.46: Baバリウム + H₂O水
⟶
BaO酸化バリウム + H₂↑水素

バリウムと水の反応: Baバリウム + 2H₂O水
⟶
Ba(OH)₂水酸化バリウム + H₂↑水素

酸化性化学種との反応

バリウムと酸化性化学種が反応すると，種々の生成物が生成します。

バリウムと硝酸の反応 ◆ Δ_rG −635.17 kJ/mol K 1.89 × 10¹¹¹ pK −111.28: Baバリウム + 2HNO₃硝酸
⟶
Ba(NO₃)₂硝酸バリウム + H₂↑水素

バリウムとクロム酸の反応: Baバリウム + H₂CrO₄クロム酸
⟶
BaCrO₄クロム酸バリウム + H₂↑水素

バリウムと過マンガン酸カリウムの反応 ◆ Δ_rG −1362.8 kJ/mol K 5.65 × 10²³⁸ pK −238.75: 4Baバリウム + KMnO₄過マンガン酸カリウム
⟶
4BaO酸化バリウム + Kカリウム + Mnマンガン

バリウムと過マンガン酸カリウムの反応 ◆ Δ_rG −2522.6 kJ/mol K 8.72 × 10⁴⁴¹ pK −441.94: 7Baバリウム + 2KMnO₄過マンガン酸カリウム
⟶
7BaO酸化バリウム + 2Mnマンガン + K₂O酸化カリウム

被還元性化学種との反応

バリウムと被還元性化学種が反応すると，種々の生成物が生成します。

バリウムと硫黄の反応 ◆ Δ_rG −456 kJ/mol K 7.72 × 10⁷⁹ pK −79.89: Baバリウム + S硫黄
⟶
BaS硫化バリウム

バリウムと酸化マンガン(IV)の反応 ◆ Δ_rG −585.1 kJ/mol K 3.20 × 10¹⁰² pK −102.51: 2Baバリウム + MnO₂酸化マンガン(IV)
⟶
2BaO酸化バリウム + Mnマンガン

バリウムと酸化鉄(III)の反応 ◆ Δ_rG −833.1 kJ/mol K 8.97 × 10¹⁴⁵ pK −145.95: 3Baバリウム + Fe₂O₃酸化鉄(III)
⟶
3BaO酸化バリウム + 2Fe鉄

バリウムと硫酸の反応 ◆ Δ_rG −672.2 kJ/mol K 5.81 × 10¹¹⁷ pK −117.76: Baバリウム + H₂SO₄硫酸
⟶
BaSO₄硫酸バリウム + H₂↑水素

難還元性化学種との反応

バリウムと難還元性化学種が反応すると，種々の生成物が生成します。

バリウムと酸化マンガン(II)の反応 ◆ Δ_rG −162.2 kJ/mol K 2.61 × 10²⁸ pK −28.42: Baバリウム + MnO酸化マンガン(II)
⟶
BaO酸化バリウム + Mnマンガン

バリウムと酸化アルミニウムの反応 ◆ Δ_rG 7.0 kJ/mol K 0.59 × 10⁻¹ pK 1.23: 3Baバリウム + Al₂O₃酸化アルミニウム
🔥
⟶
3BaO酸化バリウム + 2Alアルミニウム

参考文献

参考文献一覧

1
James G. Speight (2017)
Lange's Handbook of Chemistry, 17th edition
https://www.accessengineeringlibrary.com/content/book/9781259586095
McGraw Hill Education
- Amazon
引用リスト
- ^ 密度, 3.51 g/cm³ - p.33
- ^ 融点, 726.9 °C - p.33
- ^ 沸点, 1845 °C - p.33
- ^ 融解熱, 7.12 kJ · mol⁻¹ - p.297
- ^ 蒸発熱, 140.3 kJ · mol⁻¹ - p.297
- ^ 溶解性, 水と反応 - p.33
2
John R. Rumble Jr, David R. Lide, Thomas J. Bruno (2019)
CRC Handbook of Chemistry and Physics 100th Edition
https://www.routledge.com/CRC-Handbook-of-Chemistry-and-Physics/book-series/CRCHANCHEPHY
CRC Press
- Amazon
引用リスト
- ^ 密度, 3.62 g/cm³ - p.4-42
- ^ 融点, 727 °C - p.4-42
- ^ 沸点, ≈1845 °C - p.4-42
- ^ 融解熱, 7.12 kJ · mol⁻¹ - p.6-154
- ^ 蒸発熱, 140 kJ · mol⁻¹ - p.6-138
3
Janiel J. Reed (1989)
The NBS Tables of Chemical Thermodynamic Properties: Selected Values for Inorganic and C1 and C2 Organic Substances in SI Units
https://doi.org/10.18434/M32124
National Institute of Standards and Technology (NIST)
引用リスト
4
化学物質管理センター
GHS分類結果
https://www.nite.go.jp/chem/ghs/all_fy.html
独立行政法人製品評価技術基盤機構
引用リスト

Δ_rG	1156.8 kJ/mol
K	0.22 × 10⁻²⁰²
pK	202.66

Δ_rG	456 kJ/mol
K	0.13 × 10⁻⁷⁹
pK	79.89

Δ_rG	810.4 kJ/mol
K	0.11 × 10⁻¹⁴¹
pK	141.98

Δ_rG	736.8 kJ/mol
K	0.83 × 10⁻¹²⁹
pK	129.08

バリウム

名称

物質名称一覧

化学式と構造

化学式一覧

物質情報

物質情報一覧

構成要素

構成原子

原子の比率

熱力学的性質

相転移特性

標準熱力学特性

溶解度

溶解性

危険有害性

GHSラベル[4]

物理的危険性[4]

健康有害性[4]

環境有害性[4]

製法

溶融塩電解

化学反応

非金属との反応

酸との反応

水との反応

酸化性化学種との反応

被還元性化学種との反応

難還元性化学種との反応

参考文献

参考文献一覧

関連物質

第2族元素の単体

バリウムの化合物

関連カテゴリ

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物質の状態

物質の性質

物質の溶解性

物質の色

物質のにおい

GHSラベル^[4]

物理的危険性^[4]

健康有害性^[4]

環境有害性^[4]