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炭酸

更新日：
炭酸の化学構造式

炭酸（Carbonic acid）は，化学式 H2CO3 で表される無機化合物です。

目次
  1. 1名称
  2. 2化学式と構造
  3. 3物質情報
  4. 4構成要素
  5. 5熱力学的性質
  6. 6溶解度
  7. 7製法
  8. 8化学反応
  9. 9参考文献
  10. 10関連物質
  11. 11関連カテゴリ
Amazon.jp で「炭酸」を検索
Amazon.com で「Carbonic acid」を検索

名称

物質名称一覧

命名法
Nomenclature
名称
Name
代表的名称
Typical name
炭酸
Carbonic acid
組成命名法
Compositional nomenclature
炭酸水素
Hydrogen carbonate
炭酸二水素
Dihydrogen carbonate
付加命名法
Additive nomenclature
ジヒドロキシドオキシド炭素
Dihydroxidooxidocarbon
水素命名法
Hydrogen nomenclature
(トリオキシド炭酸)二水素
Dihydrogen(trioxidocarbonate)
IUPAC許容慣用名
IUPAC acceptable common names
炭酸
Carbonic acid

化学式と構造

化学式一覧

化学式名称
Formula name
化学式
Formula
代表的化学式
Typical formula
H2CO3
分子式
Molecular formula
H2CO3
組成式
Compositional formula
H2CO3
構造式
Structural formula
炭酸の化学構造式
骨格構造式
Skeletal formula
炭酸の骨格構造式
電子式 (ルイス構造式)
Lewis structure
炭酸の電子式 (ルイス構造式)
電子式 (ルイス構造式, 色付き)
Colored Lewis structure
炭酸の電子式 (ルイス構造式, 色付き)

物質情報

物質情報一覧

項目
Item
値
Value
名称
Name
炭酸
Carbonic acid
化学式
Formula
H2CO3
外観
Appearance
無色の水溶液
Colorless aqueous solution
臭気
Odor
無臭
Odorless
モル質量
Molar mass
62.024 g/mol
密度
Density
–
融点
Melting point
–
沸点
Boiling point
–

構成要素

構成原子

原子
Atom
名称
Name
酸化数
Oxidation state
個数
Number
H水素+12
C炭素+41
O酸素−23

原子の比率

原子
Atom
原子量
Atomic weight
個数
Number
原子比率
Atomic ratio
重量比率
Weight ratio
H1.008233.33%3.25%
C12.011116.67%19.37%
O15.999350.00%77.38%
HCO原子比率
HCO重量比率

熱力学的性質

相転移特性

項目
Item
値
Value
融解熱
Enthalpy of fusion
–
蒸発熱
Enthalpy of vaporization
–
蒸発熱 (25°C)
Enthalpy of vaporization at 25°C
–
その他転移エンタルピー
Enthalpy of other transition
–

標準熱力学特性

状態
State
標準生成
エンタルピー
ΔfH°
kJ · mol−1		標準生成
ギブス
エネルギー
ΔfG°
kJ · mol−1		標準モル
エントロピー
S°
J · K−1 · mol−1		標準モル
定圧熱容量
Cp°
J · K−1 · mol−1
水溶液 (非解離状態)−699.65[1]−623.08[1]187.4[1]–

溶解度

溶解性

反応
Reactive
混和
Miscible
易溶
Very soluble
可溶
Soluble
H2O水
微溶
Slightly soluble
難溶
Very slightly soluble
不溶
Insoluble

製法

酸性酸化物と水の反応

二酸化炭素と水が反応すると，炭酸が生成します。

二酸化炭素と水の反応
◆
ΔrG0.03 kJ/mol
K0.99 × 100
pK0.01
CO2二酸化炭素 + H2O水
⟶
H2CO3炭酸

弱酸の塩と強酸の反応

弱酸の塩と強酸が反応すると，炭酸が生成する場合があります。

炭酸水素ナトリウムと塩化水素の反応
◆
ΔrG−36.33 kJ/mol
K2.32 × 106
pK−6.36
NaHCO3炭酸水素ナトリウム + HCl塩化水素
⟶
NaCl塩化ナトリウム + H2CO3炭酸
炭酸ナトリウムと塩化水素の反応
◆
ΔrG−95.25 kJ/mol
K4.86 × 1016
pK−16.69
Na2CO3炭酸ナトリウム + 2HCl塩化水素
⟶
2NaCl塩化ナトリウム + H2CO3炭酸
炭酸水素ナトリウムと臭化水素の反応
◆
ΔrG−36.31 kJ/mol
K2.30 × 106
pK−6.36
NaHCO3炭酸水素ナトリウム + HBr臭化水素
⟶
NaBr臭化ナトリウム + H2CO3炭酸
炭酸ナトリウムと臭化水素の反応
◆
ΔrG−95.22 kJ/mol
K4.81 × 1016
pK−16.68
Na2CO3炭酸ナトリウム + 2HBr臭化水素
⟶
2NaBr臭化ナトリウム + H2CO3炭酸
炭酸水素ナトリウムとヨウ化水素の反応
◆
ΔrG−36.32 kJ/mol
K2.31 × 106
pK−6.36
NaHCO3炭酸水素ナトリウム + HIヨウ化水素
⟶
NaIヨウ化ナトリウム + H2CO3炭酸

揮発性の酸の塩と不揮発性の酸の反応

揮発性の酸の塩と不揮発性の酸が反応すると，炭酸が生成する場合があります。

炭酸ナトリウムと硫酸の反応
◆
ΔrG−95.27 kJ/mol
K4.90 × 1016
pK−16.69
Na2CO3炭酸ナトリウム + H2SO4硫酸
⟶
Na2SO4硫酸ナトリウム + H2CO3炭酸
炭酸水素ナトリウムと硫酸の反応
◆
ΔrG−72.67 kJ/mol
K5.39 × 1012
pK−12.73
2NaHCO3炭酸水素ナトリウム + H2SO4硫酸
⟶
Na2SO4硫酸ナトリウム + 2H2CO3炭酸
炭酸水素ナトリウムとリン酸の反応
◆
ΔrG14.8 kJ/mol
K0.26 × 10−2
pK2.59
3NaHCO3炭酸水素ナトリウム + H3PO4リン酸
⟶
Na3PO4リン酸ナトリウム + 3H2CO3炭酸
炭酸ナトリウムとリン酸の反応
◆
ΔrG−38.2 kJ/mol
K4.92 × 106
pK−6.69
3Na2CO3炭酸ナトリウム + 2H3PO4リン酸
⟶
2Na3PO4リン酸ナトリウム + 3H2CO3炭酸
炭酸マグネシウムと硫酸の反応
◆
ΔrG−65.9 kJ/mol
K3.51 × 1011
pK−11.55
MgCO3炭酸マグネシウム + H2SO4硫酸
⟶
MgSO4硫酸マグネシウム + H2CO3炭酸

分解反応

熱分解性物質が分解すると，炭酸が生成する場合があります。

炭酸水素バリウムの分解
◆
ΔrG−26.4 kJ/mol
K4.22 × 104
pK−4.63
Ba(HCO3)2炭酸水素バリウム
🔥
⟶
BaCO3炭酸バリウム + H2CO3炭酸
炭酸水素アンモニウムの分解
◆
ΔrG26.54 kJ/mol
K0.22 × 10−4
pK4.65
NH4HCO3炭酸水素アンモニウム
🔥
⟶
NH3↑アンモニア + H2CO3炭酸
炭酸アンモニウムの分解
◆
ΔrG30.44 kJ/mol
K0.46 × 10−5
pK5.33
(NH4)2CO3炭酸アンモニウム
🔥
⟶
2NH3↑アンモニア + H2CO3炭酸
炭酸水素ナトリウムの分解
◆
ΔrG22.60 kJ/mol
K0.11 × 10−3
pK3.96
2NaHCO3炭酸水素ナトリウム
🔥
⟶
Na2CO3炭酸ナトリウム + H2CO3炭酸
炭酸水素マグネシウムの分解
Mg(HCO3)2炭酸水素マグネシウム
🔥
⟶
MgCO3炭酸マグネシウム + H2CO3炭酸

加水分解

弱酸と弱塩基の塩と水が反応すると，炭酸が生成する場合があります。

炭酸マンガン(II)の加水分解
◆
ΔrG52.9 kJ/mol
K0.54 × 10−9
pK9.27
MnCO3炭酸マンガン(II) + 2H2O水
⟶
Mn(OH)2水酸化マンガン(II) + H2CO3炭酸
炭酸鉄(II)の加水分解
◆
ΔrG31.3 kJ/mol
K0.33 × 10−5
pK5.48
FeCO3炭酸鉄(II) + 2H2O水
⟶
Fe(OH)2水酸化鉄(II) + H2CO3炭酸
炭酸コバルト(II)の加水分解
CoCO3炭酸コバルト(II) + 2H2O水
⟶
Co(OH)2水酸化コバルト(II) + H2CO3炭酸
炭酸ニッケル(II)の加水分解
◆
ΔrG16.5 kJ/mol
K0.13 × 10−2
pK2.89
NiCO3炭酸ニッケル(II) + 2H2O水
⟶
Ni(OH)2水酸化ニッケル(II) + H2CO3炭酸
炭酸銅(II)の加水分解
CuCO3炭酸銅(II) + 2H2O水
⟶
Cu(OH)2水酸化銅(II) + H2CO3炭酸

電気分解

酢酸を電気分解すると，炭酸と炭素，水素が生成します。

酢酸の電気分解
◆
ΔrG−138.23 kJ/mol
K1.65 × 1024
pK−24.22
3CH3COOH酢酸
⚡
⟶
2H2CO3炭酸 + 4C炭素 + 4H2↑水素

化学反応

電離反応

炭酸が電離すると，水素イオンと陰イオンが生成します。

炭酸の電離
◆
ΔrG36.31 kJ/mol
K0.44 × 10−6
pK6.36
H2CO3炭酸
⟶
H+水素イオン + HCO3−炭酸水素イオン
炭酸の電離
◆
ΔrG95.27 kJ/mol
K0.20 × 10−16
pK16.69
H2CO3炭酸
⟶
2H+水素イオン + CO32−炭酸イオン

塩基との反応

炭酸と塩基が反応すると，塩が生成します。

炭酸とアンモニアの反応
◆
ΔrG−10.34 kJ/mol
K6.48 × 101
pK−1.81
H2CO3炭酸 + 2NH3アンモニア
⟶
(NH4)2CO3炭酸アンモニウム
炭酸とアンモニアの反応
◆
ΔrG−16.49 kJ/mol
K7.74 × 102
pK−2.89
H2CO3炭酸 + NH3アンモニア
⟶
NH4HCO3炭酸水素アンモニウム
炭酸と水酸化ナトリウムの反応
◆
ΔrG−64.52 kJ/mol
K2.01 × 1011
pK−11.30
H2CO3炭酸 + 2NaOH水酸化ナトリウム
⟶
Na2CO3炭酸ナトリウム + 2H2O水
炭酸と水酸化マグネシウムの反応
◆
ΔrG−29.8 kJ/mol
K1.66 × 105
pK−5.22
H2CO3炭酸 + Mg(OH)2水酸化マグネシウム
⟶
MgCO3炭酸マグネシウム + 2H2O水
炭酸と水酸化カリウムの反応
◆
ΔrG−64.54 kJ/mol
K2.03 × 1011
pK−11.31
H2CO3炭酸 + 2KOH水酸化カリウム
⟶
K2CO3炭酸カリウム + 2H2O水

塩基性酸化物との反応

塩基性酸化物と炭酸が反応すると，塩と水が生成します。

酸化ナトリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−290.23 kJ/mol
K7.02 × 1050
pK−50.85
Na2O酸化ナトリウム + H2CO3炭酸
⟶
Na2CO3炭酸ナトリウム + H2O水
酸化マグネシウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−60.2 kJ/mol
K3.52 × 1010
pK−10.55
MgO酸化マグネシウム + H2CO3炭酸
⟶
MgCO3炭酸マグネシウム + H2O水
酸化カリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−386.3 kJ/mol
K4.75 × 1067
pK−67.68
K2O酸化カリウム + H2CO3炭酸
⟶
K2CO3炭酸カリウム + H2O水
酸化カルシウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−137.77 kJ/mol
K1.37 × 1024
pK−24.14
CaO酸化カルシウム + H2CO3炭酸
⟶
CaCO3炭酸カルシウム + H2O水
酸化マンガン(II)と炭酸の反応
◆
ΔrG−67.8 kJ/mol
K7.55 × 1011
pK−11.88
MnO酸化マンガン(II) + H2CO3炭酸
⟶
MnCO3炭酸マンガン(II) + H2O水

塩との反応

塩と炭酸が反応すると，酸性塩が生成します。

炭酸ナトリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−22.60 kJ/mol
K9.11 × 103
pK−3.96
Na2CO3炭酸ナトリウム + H2CO3炭酸
⟶
2NaHCO3炭酸水素ナトリウム
炭酸マグネシウムと炭酸の反応
MgCO3炭酸マグネシウム + H2CO3炭酸
⟶
Mg(HCO3)2炭酸水素マグネシウム
炭酸カリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−22.64 kJ/mol
K9.25 × 103
pK−3.97
K2CO3炭酸カリウム + H2CO3炭酸
⟶
2KHCO3炭酸水素カリウム
炭酸カルシウムと炭酸の反応
CaCO3炭酸カルシウム + H2CO3炭酸
⟶
Ca(HCO3)2炭酸水素カルシウム
炭酸セシウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−22.63 kJ/mol
K9.22 × 103
pK−3.96
Cs2CO3炭酸セシウム + H2CO3炭酸
⟶
2CsHCO3炭酸水素セシウム

脱水性酸性酸化物との反応

炭酸と脱水性酸性酸化物が反応すると，二酸化炭素とオキソ酸が生成します。

炭酸と十酸化四リンの反応
◆
ΔrG−500.1 kJ/mol
K4.11 × 1087
pK−87.61
6H2CO3炭酸 + P4O10十酸化四リン
🔥
⟶
6CO2↑二酸化炭素 + 4H3PO4リン酸
炭酸と三酸化セレンの反応
H2CO3炭酸 + SeO3三酸化セレン
🔥
⟶
CO2↑二酸化炭素 + H2SeO4セレン酸

陰イオンとの反応

炭酸と炭酸イオンが反応すると，炭酸水素イオンが生成します。

炭酸と炭酸イオンの反応
◆
ΔrG−22.65 kJ/mol
K9.29 × 103
pK−3.97
H2CO3炭酸 + CO32−炭酸イオン
⟶
2HCO3−炭酸水素イオン

活性金属との反応

活性金属と炭酸が反応すると，塩と水素が生成します。

ナトリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−428.56 kJ/mol
K1.20 × 1075
pK−75.08
2Naナトリウム + H2CO3炭酸
⟶
Na2CO3炭酸ナトリウム + H2↑水素
マグネシウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−389.0 kJ/mol
K1.41 × 1068
pK−68.15
Mgマグネシウム + H2CO3炭酸
⟶
MgCO3炭酸マグネシウム + H2↑水素
カリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−471.28 kJ/mol
K3.67 × 1082
pK−82.56
2Kカリウム + H2CO3炭酸
⟶
K2CO3炭酸カリウム + H2↑水素
カルシウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−504.67 kJ/mol
K2.60 × 1088
pK−88.41
Caカルシウム + H2CO3炭酸
⟶
CaCO3炭酸カルシウム + H2↑水素
マンガンと炭酸の反応
◆
ΔrG−193.6 kJ/mol
K8.27 × 1033
pK−33.92
Mnマンガン + H2CO3炭酸
⟶
MnCO3炭酸マンガン(II) + H2↑水素

自己酸化還元性化学種との反応

自己酸化還元性化学種と炭酸が反応すると，種々の生成物が生成します。

炭素と炭酸の反応
◆
ΔrG60.98 kJ/mol
K0.21 × 10−10
pK10.68
2C炭素 + 2H2CO3炭酸
🔥
⟶
CH3COOH酢酸 + 2CO2↑二酸化炭素
炭素と炭酸の反応
◆
ΔrG12.36 kJ/mol
K0.68 × 10−2
pK2.17
2C炭素 + 2H2CO3炭酸
🔥
⟶
3CO2↑二酸化炭素 + CH4↑メタン
二酸化窒素と炭酸の反応
◆
ΔrG−35.7 kJ/mol
K1.80 × 106
pK−6.25
2NO2二酸化窒素 + H2CO3炭酸
⟶
HNO3硝酸 + HNO2亜硝酸 + CO2二酸化炭素
塩素と炭酸の反応
◆
ΔrG46.6 kJ/mol
K0.69 × 10−8
pK8.16
Cl2塩素 + H2CO3炭酸
🔥
⟶
HClO次亜塩素酸 + HCl塩化水素 + CO2二酸化炭素
次亜塩素酸ナトリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG−15.4 kJ/mol
K4.99 × 102
pK−2.70
2NaClO次亜塩素酸ナトリウム + H2CO3炭酸
🔥
⟶
NaCl塩化ナトリウム + NaHCO3炭酸水素ナトリウム + HClO2亜塩素酸

還元性化学種との反応

還元性化学種と炭酸が反応すると，種々の生成物が生成します。

水素と炭酸の反応
◆
ΔrG−123.5 kJ/mol
K4.33 × 1021
pK−21.64
2H2水素 + H2CO3炭酸
⟶
3H2O水 + C炭素
水素と炭酸の反応
◆
ΔrG−5.9 kJ/mol
K1.08 × 101
pK−1.03
H2水素 + H2CO3炭酸
🔥
⟶
CO一酸化炭素 + 2H2O水
硫化水素と炭酸の反応
◆
ΔrG−32.65 kJ/mol
K5.25 × 105
pK−5.72
2H2S硫化水素 + H2CO3炭酸
⟶
2S硫黄 + 3H2O水 + C炭素
鉄と炭酸の反応
◆
ΔrG−43.59 kJ/mol
K4.33 × 107
pK−7.64
Fe鉄 + H2CO3炭酸
⟶
FeCO3炭酸鉄(II) + H2↑水素
コバルトと炭酸の反応
Coコバルト + H2CO3炭酸
⟶
CoCO3炭酸コバルト(II) + H2↑水素

被酸化性化学種との反応

被酸化性化学種と炭酸が反応すると，種々の生成物が生成します。

銅と炭酸の反応
Cu銅 + H2CO3炭酸
🔥
⟶
CuCO3炭酸銅(II) + H2↑水素
ヨウ化カリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG546.7 kJ/mol
K0.17 × 10−95
pK95.78
KIヨウ化カリウム + H2CO3炭酸
🔥
⟶
KIO3ヨウ素酸カリウム + C炭素 + H2↑水素
ヨウ化カリウムと炭酸の反応
◆
ΔrG214.82 kJ/mol
K0.23 × 10−37
pK37.63
2KIヨウ化カリウム + H2CO3炭酸
🔥
⟶
K2CO3炭酸カリウム + I2ヨウ素 + H2↑水素
銅と炭酸の反応
2Cu銅 + 3H2CO3炭酸
🔥
⟶
2CuCO3炭酸銅(II) + 3H2O水 + C炭素

沈殿反応

水溶液中に特定の化学種が存在すると，炭酸と反応して沈殿が生成します。

亜硝酸マグネシウムと炭酸の反応
Mg(NO2)2亜硝酸マグネシウム + H2CO3炭酸
💧
⟶
MgCO3↓炭酸マグネシウム + 2HNO2亜硝酸
シアン化カルシウムと炭酸の反応
Ca(CN)2シアン化カルシウム + H2CO3炭酸
💧
⟶
CaCO3↓炭酸カルシウム + 2HCNシアン化水素
亜硝酸カルシウムと炭酸の反応
Ca(NO2)2亜硝酸カルシウム + H2CO3炭酸
💧
⟶
CaCO3↓炭酸カルシウム + 2HNO2亜硝酸
チオ硫酸マグネシウムと炭酸の反応
MgS2O3チオ硫酸マグネシウム + H2CO3炭酸
💧
⟶
MgCO3↓炭酸マグネシウム + H2S2O3チオ硫酸
チオ硫酸カルシウムと炭酸の反応
CaS2O3チオ硫酸カルシウム + H2CO3炭酸
💧
⟶
CaCO3↓炭酸カルシウム + H2S2O3チオ硫酸

分解反応

炭酸が分解すると，二酸化炭素と水が生成します。

炭酸の分解
◆
ΔrG−8.41 kJ/mol
K2.97 × 101
pK−1.47
H2CO3炭酸
🔥|🕒
⟶
CO2↑二酸化炭素 + H2O水
炭酸の分解
◆
ΔrG351.88 kJ/mol
K0.23 × 10−61
pK61.65
H2CO3炭酸
🔥
⟶
H2O2過酸化水素 + CO↑一酸化炭素
炭酸の分解
◆
ΔrG385.95 kJ/mol
K0.24 × 10−67
pK67.62
H2CO3炭酸
🔥
⟶
O2↑酸素 + C炭素 + H2O水

水溶液の電気分解

炭酸水溶液を電気分解すると，種々の生成物が生成します。

水の電気分解
◆
ΔrG474.258 kJ/mol
K0.82 × 10−83
pK83.09
2H2O水
⚡
⟶
2H2↑水素 + O2↑酸素
炭酸水溶液の電気分解 (水≠反応物)
◆
ΔrG485.91 kJ/mol
K0.75 × 10−85
pK85.13
H2CO3炭酸
💧⚡
⟶
O2↑酸素 + CO↑一酸化炭素 + H2↑水素
炭酸水溶液の電気分解 (水≠反応物)
◆
ΔrG457.44 kJ/mol
K0.72 × 10−80
pK80.14
2H2CO3炭酸
💧⚡
⟶
O2↑酸素 + 2CO2↑二酸化炭素 + 2H2↑水素

参考文献

参考文献一覧

  1. 1
    Janiel J. Reed (1989)
    The NBS Tables of Chemical Thermodynamic Properties: Selected Values for Inorganic and C1 and C2 Organic Substances in SI Units
    National Institute of Standards and Technology (NIST)
    Amazon.jp で「炭酸」を検索
    Amazon.com で「Carbonic acid」を検索