You-iggy
  1. ホーム
  2. 化学物質
  3. 塩素酸

塩素酸

更新日：
塩素酸の化学構造式

塩素酸（Chloric acid）は，化学式 HClO3 で表される無機化合物です。

目次
  1. 1名称
  2. 2化学式と構造
  3. 3物質情報
  4. 4構成要素
  5. 5熱力学的性質
  6. 6溶解度
  7. 7危険有害性
  8. 8製法
  9. 9化学反応
  10. 10参考文献
  11. 11関連物質
  12. 12関連カテゴリ
Amazon.jp で「塩素酸」を検索
Amazon.com で「Chloric acid」を検索

名称

物質名称一覧

命名法
Nomenclature
名称
Name
代表的名称
Typical name
塩素酸
Chloric acid
組成命名法
Compositional nomenclature
塩素酸水素
Hydrogen chlorate
付加命名法
Additive nomenclature
ヒドロキシドジオキシド塩素
Hydroxidodioxidochlorine
水素命名法
Hydrogen nomenclature
(トリオキシド塩素酸)水素
Hydrogen(trioxidochlorate)

化学式と構造

化学式一覧

化学式名称
Formula name
化学式
Formula
代表的化学式
Typical formula
HClO3
分子式
Molecular formula
HClO3
組成式
Compositional formula
HClO3
構造式
Structural formula
塩素酸の化学構造式
構造式 (孤立電子対なし)
Structural formula with no lone pair
塩素酸の化学構造式 (孤立電子対なし)
その他の構造式
Other structural formulas
塩素酸の化学構造式 (二重結合表記)
塩素酸の化学構造式 (二重結合表記, 孤立電子対なし)
電子式 (ルイス構造式)
Lewis structure
塩素酸の電子式 (ルイス構造式)
電子式 (ルイス構造式, 色付き)
Colored Lewis structure
塩素酸の電子式 (ルイス構造式, 色付き)

物質情報

物質情報一覧

項目
Item
値
Value
名称
Name
塩素酸
Chloric acid
化学式
Formula
HClO3
外観
Appearance
無色の水溶液
Colorless aqueous solution
臭気
Odor
無臭
Odorless
モル質量
Molar mass
84.46 g/mol
密度
Density
1.282 g/cm3[1]
水溶液, 20°C, 40%溶液
融点
Melting point
–
沸点
Boiling point
–

構成要素

構成原子

原子
Atom
名称
Name
酸化数
Oxidation state
個数
Number
H水素+11
Cl塩素+51
O酸素−23

原子の比率

原子
Atom
原子量
Atomic weight
個数
Number
原子比率
Atomic ratio
重量比率
Weight ratio
H1.008120.00%1.19%
Cl35.45120.00%41.98%
O15.999360.00%56.83%
HClO原子比率
ClO重量比率

熱力学的性質

相転移特性

項目
Item
値
Value
融解熱
Enthalpy of fusion
–
蒸発熱
Enthalpy of vaporization
–
蒸発熱 (25°C)
Enthalpy of vaporization at 25°C
–
その他転移エンタルピー
Enthalpy of other transition
–

標準熱力学特性

状態
State
標準生成
エンタルピー
ΔfH°
kJ · mol−1		標準生成
ギブス
エネルギー
ΔfG°
kJ · mol−1		標準モル
エントロピー
S°
J · K−1 · mol−1		標準モル
定圧熱容量
Cp°
J · K−1 · mol−1
水溶液 (解離状態)−103.97[2]−7.95[2]162.3[2]–

溶解度

溶解性

反応
Reactive
混和
Miscible
易溶
Very soluble
可溶
Soluble
H2O水
微溶
Slightly soluble
難溶
Very slightly soluble
不溶
Insoluble

危険有害性

GHSラベル[3]

項目
Item
値
Value
危険有害性絵表示
Hazard pictograms
GHS03: 円上の炎
GHS03: 円上の炎
GHS05: 腐食
GHS05: 腐食
注意喚起語
Signal word
危険
危険有害性情報
Hazard statements
H271: 火災または爆発のおそれ; 強酸化剤
H272: 火災激化のおそれ; 酸化剤
H290: 金属腐食のおそれ

物理的危険性[3]

分類区分表示危険有害性情報
爆発物分類不可
(データ不足)
引火性気体分類対象外
エアゾール分類対象外
酸化性気体分類対象外
高圧ガス分類対象外
引火性液体分類不可
(データ不足)
引火性固体分類対象外
自己反応性化学品分類対象外
自然発火性液体分類不可
(データ不足)
自然発火性固体分類対象外
自己発熱性化学品分類不可
(データ不足)
水反応引火性化学品分類対象外
酸化性液体区分1
GHS03: 円上の炎
危険
H271: 火災または爆発のおそれ; 強酸化剤
区分2
GHS03: 円上の炎
危険
H272: 火災激化のおそれ; 酸化剤
酸化性固体分類対象外
有機過酸化物分類対象外
金属腐食性物質区分1
GHS05: 腐食
警告
H290: 金属腐食のおそれ
鈍性化爆発物データなし

健康有害性[3]

分類区分表示危険有害性情報
急性経口毒性分類不可
(データ不足)
急性経皮毒性分類不可
(データ不足)
急性吸入毒性
(気体)		分類対象外
急性吸入毒性
(蒸気)		分類不可
(データ不足)
急性吸入毒性
(粉塵・ミスト)		分類不可
(データ不足)
皮膚腐食性/刺激性分類不可
(データ不足)
重篤な眼損傷性/眼刺激性分類不可
(データ不足)
呼吸器感作性分類不可
(データ不足)
皮膚感作性分類不可
(データ不足)
生殖細胞変異原性分類不可
(データ不足)
発がん性分類不可
(データ不足)
生殖毒性分類不可
(データ不足)
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)		分類不可
(データ不足)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)		分類不可
(データ不足)
誤えん有害性分類不可
(データ不足)

環境有害性[3]

分類区分表示危険有害性情報
水生環境有害性
(短期)		分類不可
(データ不足)
水生環境有害性
(長期)		分類不可
(データ不足)
オゾン層への有害性データなし

製法

非金属と水の反応

塩素と水が反応すると，塩素酸と塩化水素が生成します。

塩素と水の反応
◆
ΔrG206.12 kJ/mol
K0.78 × 10−36
pK36.11
3Cl2塩素 + 3H2O水
🔥
⟶
HClO3塩素酸 + 5HCl塩化水素

電気分解

液体を電気分解すると，塩素酸が生成する場合があります。

過塩素酸の電気分解
◆
ΔrG1.14 kJ/mol
K0.63 × 100
pK0.20
2HClO4過塩素酸
⚡
⟶
2HClO3塩素酸 + O2↑酸素
過塩素酸の電気分解
◆
ΔrG164.9 kJ/mol
K0.13 × 10−28
pK28.89
3HClO4過塩素酸
⚡
⟶
3HClO3塩素酸 + O3↑オゾン

化学反応

電離反応

塩素酸が電離すると，水素イオンと塩素酸イオンが生成します。

塩素酸の電離
HClO3塩素酸
⟶
H+水素イオン + ClO3−塩素酸イオン

塩基との反応

塩素酸と塩基が反応すると，塩が生成します。

塩素酸とアンモニアの反応
◆
ΔrG−52.81 kJ/mol
K1.79 × 109
pK−9.25
HClO3塩素酸 + NH3アンモニア
⟶
NH4ClO3塩素酸アンモニウム
塩素酸と水酸化ナトリウムの反応
◆
ΔrG−79.87 kJ/mol
K9.83 × 1013
pK−13.99
HClO3塩素酸 + NaOH水酸化ナトリウム
⟶
NaClO3塩素酸ナトリウム + H2O水
塩素酸と水酸化カリウムの反応
◆
ΔrG−79.90 kJ/mol
K9.95 × 1013
pK−14.00
HClO3塩素酸 + KOH水酸化カリウム
⟶
KClO3塩素酸カリウム + H2O水
塩素酸と水酸化カルシウムの反応
2HClO3塩素酸 + Ca(OH)2水酸化カルシウム
⟶
Ca(ClO3)2塩素酸カルシウム + 2H2O水
塩素酸と水酸化ルビジウムの反応
◆
ΔrG−79.82 kJ/mol
K9.64 × 1013
pK−13.98
HClO3塩素酸 + RbOH水酸化ルビジウム
⟶
RbClO3塩素酸ルビジウム + H2O水

塩基性酸化物との反応

塩基性酸化物と塩素酸が反応すると，塩と水が生成します。

酸化ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−385.45 kJ/mol
K3.37 × 1067
pK−67.53
Na2O酸化ナトリウム + 2HClO3塩素酸
⟶
2NaClO3塩素酸ナトリウム + H2O水
酸化カリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−481.6 kJ/mol
K2.36 × 1084
pK−84.37
K2O酸化カリウム + 2HClO3塩素酸
⟶
2KClO3塩素酸カリウム + H2O水
酸化カルシウムと塩素酸の反応
CaO酸化カルシウム + 2HClO3塩素酸
⟶
Ca(ClO3)2塩素酸カルシウム + H2O水
酸化ルビジウムと塩素酸の反応
Rb2O酸化ルビジウム + 2HClO3塩素酸
⟶
2RbClO3塩素酸ルビジウム + H2O水
酸化セシウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−513.03 kJ/mol
K7.57 × 1089
pK−89.88
Cs2O酸化セシウム + 2HClO3塩素酸
⟶
2CsClO3塩素酸セシウム + H2O水

弱酸の塩との反応

弱酸の塩と塩素酸が反応すると，強酸の塩と弱酸が生成します。

リン酸二水素ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−12.26 kJ/mol
K1.41 × 102
pK−2.15
NaH2PO4リン酸二水素ナトリウム + HClO3塩素酸
⟶
NaClO3塩素酸ナトリウム + H3PO4リン酸
リン酸水素ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−53.34 kJ/mol
K2.21 × 109
pK−9.34
Na2HPO4リン酸水素ナトリウム + 2HClO3塩素酸
⟶
2NaClO3塩素酸ナトリウム + H3PO4リン酸
リン酸ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−123.7 kJ/mol
K4.69 × 1021
pK−21.67
Na3PO4リン酸ナトリウム + 3HClO3塩素酸
⟶
3NaClO3塩素酸ナトリウム + H3PO4リン酸
クロム酸ナトリウムと塩素酸の反応
Na2CrO4クロム酸ナトリウム + 2HClO3塩素酸
⟶
2NaClO3塩素酸ナトリウム + H2CrO4クロム酸
メタケイ酸ナトリウムと塩素酸の反応
Na2SiO3メタケイ酸ナトリウム + 2HClO3塩素酸
⟶
2NaClO3塩素酸ナトリウム + SiO2二酸化ケイ素 + H2O水

揮発性の酸の塩との反応

揮発性の酸の塩と塩素酸が反応すると，不揮発性の酸の塩と揮発性の酸が生成します。

フッ化ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG5.6 kJ/mol
K0.10 × 100
pK0.98
NaFフッ化ナトリウム + HClO3塩素酸
⟶
NaClO3塩素酸ナトリウム + HF↑フッ化水素
硫化水素ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−45.64 kJ/mol
K9.90 × 107
pK−8.00
NaHS硫化水素ナトリウム + HClO3塩素酸
⟶
NaClO3塩素酸ナトリウム + H2S↑硫化水素
硫化ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−119.2 kJ/mol
K7.64 × 1020
pK−20.88
Na2S硫化ナトリウム + 2HClO3塩素酸
⟶
2NaClO3塩素酸ナトリウム + H2S↑硫化水素
塩化ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG35.94 kJ/mol
K0.51 × 10−6
pK6.30
NaCl塩化ナトリウム + HClO3塩素酸
⟶
NaClO3塩素酸ナトリウム + HCl↑塩化水素
シアン化アンモニウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−52.6 kJ/mol
K1.64 × 109
pK−9.22
NH4CNシアン化アンモニウム + HClO3塩素酸
⟶
NH4ClO3塩素酸アンモニウム + HCNシアン化水素

自己酸化還元性化学種との反応

自己酸化還元性化学種と塩素酸が反応すると，種々の生成物が生成します。

次亜塩素酸ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−88.1 kJ/mol
K2.72 × 1015
pK−15.43
3NaClO次亜塩素酸ナトリウム + 2HClO3塩素酸
⟶
3NaClO3塩素酸ナトリウム + 2HCl↑塩化水素
次亜塩素酸カリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−88.4 kJ/mol
K3.07 × 1015
pK−15.49
3KClO次亜塩素酸カリウム + 2HClO3塩素酸
⟶
3KClO3塩素酸カリウム + 2HCl↑塩化水素
次亜塩素酸カルシウムと塩素酸の反応
3Ca(ClO)2次亜塩素酸カルシウム + 4HClO3塩素酸
⟶
3Ca(ClO3)2塩素酸カルシウム + 4HCl↑塩化水素
次亜塩素酸ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−298.2 kJ/mol
K1.75 × 1052
pK−52.24
5NaClO次亜塩素酸ナトリウム + 4HClO3塩素酸
⟶
5NaClO3塩素酸ナトリウム + 2Cl2↑塩素 + 2H2O水
次亜塩素酸カリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−298.6 kJ/mol
K2.05 × 1052
pK−52.31
5KClO次亜塩素酸カリウム + 4HClO3塩素酸
⟶
5KClO3塩素酸カリウム + 2Cl2↑塩素 + 2H2O水

還元性化学種との反応

還元性化学種と塩素酸が反応すると，種々の生成物が生成します。

水素と塩素酸の反応
◆
ΔrG−1494.9 kJ/mol
K7.86 × 10261
pK−261.90
5H2水素 + 2HClO3塩素酸
⟶
Cl2塩素 + 6H2O水
水素と塩素酸の反応
◆
ΔrG−851.5 kJ/mol
K1.50 × 10149
pK−149.18
3H2水素 + HClO3塩素酸
⟶
HCl塩化水素 + 3H2O水
硫化水素と塩素酸の反応
◆
ΔrG−1267.72 kJ/mol
K1.24 × 10222
pK−222.09
5H2S硫化水素 + 2HClO3塩素酸
⟶
5S硫黄 + Cl2塩素 + 6H2O水
マンガンと塩素酸の反応
◆
ΔrG−1570.12 kJ/mol
K1.18 × 10275
pK−275.07
3Mnマンガン + 2HClO3塩素酸
⟶
3MnO2酸化マンガン(IV) + 2HCl↑塩化水素
スズと塩素酸の反応
◆
ΔrG−1733.5 kJ/mol
K4.97 × 10303
pK−303.70
3Snスズ + 2HClO3塩素酸
⟶
3SnO2酸化スズ(IV) + 2HCl↑塩化水素

被酸化性化学種との反応

被酸化性化学種と塩素酸が反応すると，種々の生成物が生成します。

ヨウ化カリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−163.7 kJ/mol
K4.78 × 1028
pK−28.68
KIヨウ化カリウム + HClO3塩素酸
⟶
KIO3ヨウ素酸カリウム + HCl↑塩化水素
ヨウ化カリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−204.3 kJ/mol
K6.19 × 1035
pK−35.79
KIヨウ化カリウム + HClO3塩素酸
⟶
KCl塩化カリウム + HIO3ヨウ素酸

被酸化性化学種との反応 (酸性条件下)

被酸化性化学種と塩素酸，水素イオンが反応すると，種々の生成物が生成します。

銅と塩素酸の反応 (酸性条件下)
◆
ΔrG−1079.42 kJ/mol
K1.28 × 10189
pK−189.11
5Cu銅 + 2HClO3塩素酸 + 10H+水素イオン
⟶
5Cu2+銅(II)イオン + Cl2↑塩素 + 6H2O水
銅と塩素酸の反応 (酸性条件下)
◆
ΔrG−907.07 kJ/mol
K8.16 × 10158
pK−158.91
10Cu銅 + 2HClO3塩素酸 + 10H+水素イオン
⟶
10Cu+銅(I)イオン + Cl2↑塩素 + 6H2O水
ヨウ化カリウムと塩素酸の反応 (酸性条件下)
◆
ΔrG−809.07 kJ/mol
K5.53 × 10141
pK−141.74
10KIヨウ化カリウム + 2HClO3塩素酸 + 10H+水素イオン
⟶
10K+カリウムイオン + 5I2ヨウ素 + Cl2↑塩素 + 6H2O水

酸化性化学種との反応

塩素酸と酸化性化学種が反応すると，種々の生成物が生成します。

塩素酸と酸素の反応
◆
ΔrG−17.5 kJ/mol
K1.16 × 103
pK−3.07
2HClO3塩素酸 + O2酸素
🔥
⟶
2HClO4過塩素酸
塩素酸と過マンガン酸カリウムの反応
◆
ΔrG−274.7 kJ/mol
K1.33 × 1048
pK−48.13
3HClO3塩素酸 + 2KMnO4過マンガン酸カリウム
⟶
2KClO4過塩素酸カリウム + HClO4過塩素酸 + 2MnO2酸化マンガン(IV) + H2O水
塩素酸と過マンガン酸カリウムの反応
◆
ΔrG−274.7 kJ/mol
K1.33 × 1048
pK−48.13
5HClO3塩素酸 + 2KMnO4過マンガン酸カリウム
⟶
3HClO4過塩素酸 + 2MnO2酸化マンガン(IV) + 2KClO3塩素酸カリウム + H2O水
塩素酸と硝酸の反応
◆
ΔrG−17.48 kJ/mol
K1.15 × 103
pK−3.06
5HClO3塩素酸 + 2HNO3硝酸
🔥
⟶
5HClO4過塩素酸 + N2↑窒素 + H2O水
塩素酸と硝酸の反応
◆
ΔrG60.1 kJ/mol
K0.30 × 10−10
pK10.53
HClO3塩素酸 + HNO3硝酸
🔥
⟶
HClO4過塩素酸 + HNO2亜硝酸

難酸化性化学種との反応

難酸化性化学種と塩素酸が反応すると，種々の生成物が生成します。

塩化水素と塩素酸の反応
◆
ΔrG−47.30 kJ/mol
K1.93 × 108
pK−8.29
5HCl塩化水素 + HClO3塩素酸
🔥
⟶
3Cl2塩素 + 3H2O水
塩化ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG−47.22 kJ/mol
K1.87 × 108
pK−8.27
5NaCl塩化ナトリウム + 6HClO3塩素酸
🔥
⟶
5NaClO3塩素酸ナトリウム + 3Cl2↑塩素 + 3H2O水
塩化水素と塩素酸の反応
◆
ΔrG123.1 kJ/mol
K0.27 × 10−21
pK21.57
4HCl塩化水素 + 2HClO3塩素酸
🔥
⟶
3Cl2O一酸化二塩素 + 3H2O水
塩化ナトリウムと塩素酸の反応
◆
ΔrG299.7 kJ/mol
K0.31 × 10−52
pK52.51
5NaCl塩化ナトリウム + 4HClO3塩素酸
🔥
⟶
5NaClO2亜塩素酸ナトリウム + 2Cl2↑塩素 + 2H2O水

酸化性化学種との反応 (酸性条件下)

塩素酸と酸化性化学種，水素イオンが反応すると，種々の生成物が生成します。

塩素酸と過マンガン酸カリウムの反応 (酸性条件下)
◆
ΔrG−276.0 kJ/mol
K2.25 × 1048
pK−48.35
5HClO3塩素酸 + 2KMnO4過マンガン酸カリウム + 6H+水素イオン
⟶
5HClO4過塩素酸 + 2Mn2+マンガン(II)イオン + 3H2O水 + 2K+カリウムイオン
塩素酸と過マンガン酸カリウムの反応 (酸性条件下)
◆
ΔrG−274.7 kJ/mol
K1.33 × 1048
pK−48.13
3HClO3塩素酸 + 2KMnO4過マンガン酸カリウム + 2H+水素イオン
⟶
3HClO4過塩素酸 + 2MnO2酸化マンガン(IV) + H2O水 + 2K+カリウムイオン

難酸化性化学種との反応 (酸性条件下)

難酸化性化学種と塩素酸，水素イオンが反応すると，種々の生成物が生成します。

塩化ナトリウムと塩素酸の反応 (酸性条件下)
◆
ΔrG−47.30 kJ/mol
K1.93 × 108
pK−8.29
5NaCl塩化ナトリウム + HClO3塩素酸 + 5H+水素イオン
🔥
⟶
5Na+ナトリウムイオン + 3Cl2↑塩素 + 3H2O水
塩化ナトリウムと塩素酸の反応 (酸性条件下)
◆
ΔrG−519.64 kJ/mol
K1.09 × 1091
pK−91.04
55NaCl塩化ナトリウム + 53HClO3塩素酸 + 13H+水素イオン
🔥
⟶
42NaClO3塩素酸ナトリウム + 13Na+ナトリウムイオン + 33Cl2↑塩素 + 33H2O水
金と塩素酸の反応 (酸性条件下)
10Au金 + 6HClO3塩素酸 + 30H+水素イオン
🔥
⟶
10Au3+金(III)イオン + 3Cl2↑塩素 + 18H2O水
金と塩素酸の反応 (酸性条件下)
10Au金 + 2HClO3塩素酸 + 10H+水素イオン
🔥
⟶
10Au+金(I)イオン + Cl2↑塩素 + 6H2O水

水溶液の電気分解

塩素酸水溶液を電気分解すると，種々の生成物が生成します。

塩素酸水溶液の電気分解 (水≠反応物)
◆
ΔrG12.48 kJ/mol
K0.65 × 10−2
pK2.19
8HClO3塩素酸
💧⚡
⟶
6HClO4過塩素酸 + Cl2↑塩素 + H2↑水素
塩素酸水溶液の電気分解 (水≠反応物)
◆
ΔrG15.90 kJ/mol
K0.16 × 10−2
pK2.79
2HClO3塩素酸
💧⚡
⟶
Cl2↑塩素 + 3O2↑酸素 + H2↑水素
塩素酸水溶液の電気分解 (水=酸化剤)
◆
ΔrG236.56 kJ/mol
K0.36 × 10−41
pK41.44
HClO3塩素酸 + H2O水
💧⚡
⟶
HClO4過塩素酸 + H2↑水素
水の電気分解
◆
ΔrG474.258 kJ/mol
K0.82 × 10−83
pK83.09
2H2O水
⚡
⟶
2H2↑水素 + O2↑酸素
塩素酸水溶液の電気分解 (水=還元剤)
◆
ΔrG289.1 kJ/mol
K0.22 × 10−50
pK50.65
2HClO3塩素酸 + 3H2O水
💧⚡
⟶
Cl2O↑一酸化二塩素 + 4H2O2過酸化水素

分解反応

塩素酸が分解すると，種々の生成物が生成します。

塩素酸の分解
◆
ΔrG122.9 kJ/mol
K0.29 × 10−21
pK21.53
2HClO3塩素酸
🔥
⟶
2ClO2↑二酸化塩素 + H2O2過酸化水素
塩素酸の分解
◆
ΔrG−72.0 kJ/mol
K4.11 × 1012
pK−12.61
HClO3塩素酸
🔥|🕒
⟶
HClO次亜塩素酸 + O2↑酸素
塩素酸の分解
◆
ΔrG27.7 kJ/mol
K0.14 × 10−4
pK4.85
2HClO3塩素酸
🔥|🕒
⟶
2HClO2亜塩素酸 + O2↑酸素

参考文献

参考文献一覧

  1. 1
    James G. Speight (2017)
    Lange's Handbook of Chemistry, 17th edition
    McGraw Hill Education
  2. 2
    Janiel J. Reed (1989)
    The NBS Tables of Chemical Thermodynamic Properties: Selected Values for Inorganic and C1 and C2 Organic Substances in SI Units
    National Institute of Standards and Technology (NIST)
    • 3
      化学物質管理センター
      GHS分類結果
      独立行政法人 製品評価技術基盤機構
      Amazon.jp で「塩素酸」を検索
      Amazon.com で「Chloric acid」を検索