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水の化学構造式

Waterは,化学式 H2O で表される無機化合物です。

目次
  1. 1名称
  2. 2化学式と構造
  3. 3物質情報
  4. 4構成要素
  5. 5熱力学的性質
  6. 6溶解度
  7. 7製法
  8. 8化学反応
  9. 9参考文献
  10. 10関連物質
  11. 11関連カテゴリ

名称

物質名称一覧

命名法
Nomenclature
名称
Name
代表的名称
Typical name
Water
組成命名法
Compositional nomenclature
一酸化水素
Hydrogen monoxide
置換命名法
Substitutive nomenclature
オキシダン
Oxidane
付加命名法
Additive nomenclature
ジヒドリド酸素
Dihydridooxygen
水素命名法
Hydrogen nomenclature
酸化二水素
Dihydrogen(oxide)
IUPAC許容慣用名
IUPAC acceptable common names
Water
別名
Other names
一酸化二水素
Dihydrogen monoxide

化学式と構造

化学式一覧

化学式名称
Formula name
化学式
Formula
代表的化学式
Typical formula
H2O
分子式
Molecular formula
H2O
組成式
Compositional formula
H2O
構造式
Structural formula
水の化学構造式
その他の構造式
Other structural formulas
水の化学構造式 (孤立電子対なし)
電子式 (ルイス構造式)
Lewis structure
水の電子式 (ルイス構造式)
電子式 (ルイス構造式, 色付き)
Colored Lewis structure
水の電子式 (ルイス構造式, 色付き)

物質情報

物質情報一覧

項目
Item
Value
名称
Name
Water
化学式
Formula
H2O
外観
Appearance
無色の液体
Colorless liquid
臭気
Odor
無臭
Odorless
モル質量
Molar mass
18.015 g/mol
密度
Density
1.000 g/cm3[1]
液体
0.9970 g/cm3[2]
液体, 25°C
融点
Melting point
0.00 °C[1][2]
沸点
Boiling point
100.00 °C[1]
99.974 °C[2]

構成要素

構成原子

原子
Atom
名称
Name
酸化数
Oxidation state
個数
Number
H水素+12
O酸素−21

原子の比率

原子
Atom
原子量
Atomic weight
個数
Number
原子比率
Atomic ratio
重量比率
Weight ratio
H1.008266.67%11.19%
O15.999133.33%88.81%
HO原子比率
HO重量比率

熱力学的性質

相転移特性

項目
Item
Value
融解熱
Enthalpy of fusion
6.009 kJ · mol−1[1]
at 0.00°C
6.01 kJ · mol−1[2]
at 0.00°C
蒸発熱
Enthalpy of vaporization
40.66 kJ · mol−1[1]
at 100.00°C
40.65 kJ · mol−1[2]
at 99.974°C
蒸発熱 (25°C)
Enthalpy of vaporization at 25°C
40.0 kJ · mol−1[1]
43.98 kJ · mol−1[2]
その他転移エンタルピー
Enthalpy of other transition

標準熱力学特性

状態
State
標準生成
エンタルピー
ΔfH°
kJ · mol−1
標準生成
ギブス
エネルギー
ΔfG°
kJ · mol−1
標準モル
エントロピー
S°
J · K−1 · mol−1
標準モル
定圧熱容量
Cp°
J · K−1 · mol−1
結晶性固体
液体−285.830[3]−237.129[3]69.91[3]75.291[3]
気体−241.818[3]−228.572[3]188.825[3]33.577[3]

溶解度

溶解性

反応
Reactive
混和
Miscible
易溶
Very soluble
可溶
Soluble
微溶
Slightly soluble
難溶
Very slightly soluble
不溶
Insoluble

ベンゼンへの溶解度 (g/100 g)[4]

3°C23°C40°C55°C66°C77°C
0.030.0610.1140.1840.2550.337

溶解度曲線 (g/100 g)

0°C20°C40°C60°C80°C100°C温度 (°C)0.00.10.20.30.4溶解度 (g/100 g)

製法

芳香族化合物硝酸の反応

ベンゼン硝酸が反応すると,ニトロベンゼンが生成します。

ベンゼン硝酸の反応
ΔrG−134.6 kJ/mol
K3.81 × 1023
pK−23.58

非金属非金属の反応

非金属非金属が反応すると,が生成する場合があります。

水素酸素の反応
ΔrG−474.258 kJ/mol
K1.22 × 1083
pK−83.09
水素オゾンの反応
ΔrG−874.6 kJ/mol
K1.67 × 10153
pK−153.22

塩基の反応

塩基が反応すると,が生成する場合があります。

炭化水素の完全燃焼

炭化水素が完全燃焼すると,が生成する場合があります。

メタンの完全燃焼
ΔrG−817.90 kJ/mol
K1.95 × 10143
pK−143.29
エチレンの完全燃焼
ΔrG−1331.13 kJ/mol
K1.60 × 10233
pK−233.20
プロパンの完全燃焼
ΔrG−2108.2 kJ/mol
K2.19 × 10369
pK−369.34
1-ブテンの完全燃焼
ΔrG−2597.3 kJ/mol
K1.06 × 10455
pK−455.03
エタンの完全燃焼
ΔrG−2934.57 kJ/mol
K1.30 × 10514
pK−514.11

炭化水素の不完全燃焼

炭化水素が不完全燃焼すると,が生成する場合があります。

エチレンの不完全燃焼
ΔrG−816.74 kJ/mol
K1.22 × 10143
pK−143.09
プロペンの不完全燃焼
ΔrG−1185.7 kJ/mol
K5.32 × 10207
pK−207.73
メタンの不完全燃焼
ΔrG−1121.41 kJ/mol
K2.90 × 10196
pK−196.46
1-ブテンの不完全燃焼
ΔrG−1568.5 kJ/mol
K6.16 × 10274
pK−274.79

塩基酸性酸化物の反応

塩基酸性酸化物が反応すると,が生成する場合があります。

アルコールハロゲン化物イオン水素イオンの反応

アルコールハロゲン化物イオン水素イオンが反応すると,が生成する場合があります。

メタノール塩化物イオン水素イオンの反応
ΔrG3.00 kJ/mol
K0.30 × 100
pK0.53
CH3OHメタノール + Cl塩化物イオン + H+水素イオン
CH3Clクロロメタン + H2O
エタノール塩化物イオン水素イオンの反応
ΔrG9.57 kJ/mol
K0.21 × 10−1
pK1.68
C2H5OHエタノール + Cl塩化物イオン + H+水素イオン
C2H5Clクロロエタン + H2O
1-プロパノール塩化物イオン水素イオンの反応
C3H7OH1-プロパノール + Cl塩化物イオン + H+水素イオン
C3H7Cl1-クロロプロパン + H2O
1-ブタノール塩化物イオン水素イオンの反応
C4H9OH1-ブタノール + Cl塩化物イオン + H+水素イオン
C4H9Cl1-クロロブタン + H2O
1-ペンタノール塩化物イオン水素イオンの反応
C5H11OH1-ペンタノール + Cl塩化物イオン + H+水素イオン
C5H11Cl1-クロロペンタン + H2O

アルコールの脱水反応

アルコールが反応すると,が生成する場合があります。

エタノールの脱水反応
ΔrG5.80 kJ/mol
K0.96 × 10−1
pK1.02
2-プロパノールの脱水反応
ΔrG6.0 kJ/mol
K0.89 × 10−1
pK1.05
1-ブタノールの脱水反応
ΔrG−3.3 kJ/mol
K3.79 × 100
pK−0.58

塩基性酸化物の反応

塩基性酸化物が反応すると,が生成する場合があります。

ケトン/アルデヒドヒドラジンの反応

ケトン/アルデヒドヒドラジンが反応すると,が生成する場合があります。

ホルムアルデヒドヒドラジンの反応
ΔrG−334.66 kJ/mol
K4.26 × 1058
pK−58.63
アセトアルデヒドヒドラジンの反応
ΔrG−291.17 kJ/mol
K1.03 × 1051
pK−51.01
アセトンヒドラジンの反応
ΔrG−257.2 kJ/mol
K1.15 × 1045
pK−45.06

ケトン/アルデヒド亜鉛水素イオンの反応

ケトン/アルデヒド亜鉛水素イオンが反応すると,が生成する場合があります。

ホルムアルデヒド亜鉛水素イオンの反応
ΔrG−479.44 kJ/mol
K9.87 × 1083
pK−83.99
HCHOホルムアルデヒド + 2Zn亜鉛 + 4H+水素イオン
Zn(Hg)
CH4メタン + 2Zn2+亜鉛イオン + H2O
アセトアルデヒド亜鉛水素イオンの反応
ΔrG−435.95 kJ/mol
K2.37 × 1076
pK−76.38
CH3CHOアセトアルデヒド + 2Zn亜鉛 + 4H+水素イオン
Zn(Hg)
C2H6エタン + 2Zn2+亜鉛イオン + H2O
ヘキサナール亜鉛水素イオンの反応
C5H11CHOヘキサナール + 2Zn亜鉛 + 4H+水素イオン
Zn(Hg)
C6H14ヘキサン + 2Zn2+亜鉛イオン + H2O
ヘプタナール亜鉛水素イオンの反応
C6H13CHOヘプタナール + 2Zn亜鉛 + 4H+水素イオン
Zn(Hg)
C7H16ヘプタン + 2Zn2+亜鉛イオン + H2O
アセトン亜鉛水素イオンの反応
ΔrG−401.9 kJ/mol
K2.57 × 1070
pK−70.41
CH3COCH3アセトン + 2Zn亜鉛 + 4H+水素イオン
Zn(Hg)
C3H8プロパン + 2Zn2+亜鉛イオン + H2O

芳香族化合物硫酸の反応

ベンゼン硫酸が反応すると,ベンゼンスルホン酸が生成します。

ベンゼン硫酸の反応
⚠️
この反応は,不動態または 不溶性の表層の形成により 進行しない可能性があります

両性水酸化物塩基の反応

両性水酸化物塩基が反応すると,が生成する場合があります。

塩基両性酸化物の反応

水酸化カリウム酸化スズ(IV)が反応すると,メタスズ酸カリウムが生成します。

オキソ酸の縮合反応

クロム酸が反応すると,二クロム酸が生成します。

電離反応

ヒドロニウムイオンが電離すると,水素イオンが生成します。

オキソ酸イオンの縮合反応

オキソ酸イオンが反応すると,が生成する場合があります。

分解反応

熱分解性物質が分解すると,が生成する場合があります。

メタケイ酸の分解
ΔrG−1.4 kJ/mol
K1.76 × 100
pK−0.25
リン酸の分解
ΔrG355.9 kJ/mol
K0.45 × 10−62
pK62.35
水酸化カルシウムの分解
ΔrG57.33 kJ/mol
K0.90 × 10−10
pK10.04

還元性非金属酸化物の反応

還元性非金属酸化物が反応すると,が生成する場合があります。

水素一酸化炭素の反応
ΔrG−99.961 kJ/mol
K3.25 × 1017
pK−17.51
水素二酸化炭素の反応
ΔrG−79.899 kJ/mol
K9.95 × 1013
pK−14.00

還元性非金属酸化物の反応

還元性非金属酸化物が反応すると,が生成する場合があります。

水素酸化ナトリウムの反応
ΔrG138.33 kJ/mol
K0.58 × 10−24
pK24.23
水素過酸化ナトリウムの反応
ΔrG−26.6 kJ/mol
K4.57 × 104
pK−4.66
2H2水素 + Na2O2過酸化ナトリウム
🔥
2Naナトリウム + 2H2O
水素酸化マグネシウムの反応
ΔrG328.82 kJ/mol
K0.25 × 10−57
pK57.61
水素酸化アルミニウムの反応
ΔrG870.9 kJ/mol
K0.27 × 10−152
pK152.58
水素二酸化ケイ素の反応
ΔrG382.38 kJ/mol
K0.10 × 10−66
pK66.99

非金属水酸化物塩基の反応

非金属水酸化物塩基が反応すると,が生成する場合があります。

電気分解

液体を電気分解すると,が生成する場合があります。

酢酸の電気分解
ΔrG−84.4 kJ/mol
K6.11 × 1014
pK−14.79
酢酸の電気分解
ΔrG45.3 kJ/mol
K0.12 × 10−7
pK7.94
過酸化水素の電気分解
ΔrG−233.56 kJ/mol
K8.28 × 1040
pK−40.92

化学反応

酸性酸化物との反応

酸性酸化物が反応すると,が生成します。

三酸化二ホウ素の反応
ΔrG−32.46 kJ/mol
K4.86 × 105
pK−5.69
二酸化ケイ素の反応
ΔrG1.4 kJ/mol
K0.57 × 100
pK0.25
十酸化四リンの反応
ΔrG−355.9 kJ/mol
K2.24 × 1062
pK−62.35
三酸化硫黄の反応
ΔrG−79.12 kJ/mol
K7.26 × 1013
pK−13.86

塩基性酸化物との反応

塩基性酸化物が反応すると,塩基が生成します。

酸化ナトリウムの反応
ΔrG−146.40 kJ/mol
K4.45 × 1025
pK−25.65
酸化カリウムの反応
ΔrG−198.9 kJ/mol
K7.01 × 1034
pK−34.85
酸化カルシウムの反応
ΔrG−57.33 kJ/mol
K1.11 × 1010
pK−10.04

陰イオンとの反応

陰イオンが反応すると,陰イオンが生成します。

酸化物イオンの反応
H2O + O2−酸化物イオン
2OH水酸化物イオン
メタスズ酸イオンの反応
3H2O + SnO32−メタスズ酸イオン
[Sn(OH)6]2−ヘキサヒドロキシドスズ(IV)酸イオン

還元性非金属との反応

還元性非金属が反応すると,単体/酸化物非金属酸化物が生成します。

炭素の反応
ΔrG79.899 kJ/mol
K0.10 × 10−13
pK14.00
炭素の反応
ΔrG99.961 kJ/mol
K0.31 × 10−17
pK17.51

自己酸化還元性化学種との反応

自己酸化還元性化学種が反応すると,種々の生成物が生成します。

炭素の反応
ΔrG84.4 kJ/mol
K0.16 × 10−14
pK14.79
ヒ素の反応
ΔrG140.52 kJ/mol
K0.24 × 10−24
pK24.62
二酸化窒素の反応
ΔrG−27.3 kJ/mol
K6.06 × 104
pK−4.78
塩素の反応
ΔrG55.0 kJ/mol
K0.23 × 10−9
pK9.64
硫黄の反応
ΔrG106.94 kJ/mol
K0.18 × 10−18
pK18.74

非金属との反応

非金属が反応すると,オキソ酸水素化物が生成します。

ホウ素の反応
ΔrG−428.0 kJ/mol
K9.60 × 1074
pK−74.98
セレンの反応
ΔrG317.0 kJ/mol
K0.29 × 10−55
pK55.54
硫黄の反応
ΔrG106.46 kJ/mol
K0.22 × 10−18
pK18.65

活性金属との反応

活性金属が反応すると,水酸化物塩基/塩基性酸化物水素が生成します。

ナトリウムの反応
ΔrG−138.33 kJ/mol
K1.72 × 1024
pK−24.23
マグネシウムの反応
ΔrG−328.82 kJ/mol
K4.04 × 1057
pK−57.61
アルミニウムの反応
ΔrG−870.9 kJ/mol
K3.76 × 10152
pK−152.58
カリウムの反応
ΔrG−85.0 kJ/mol
K7.79 × 1014
pK−14.89
カルシウムの反応
ΔrG−366.90 kJ/mol
K1.90 × 1064
pK−64.28

還元性化学種との反応

還元性化学種が反応すると,種々の生成物が生成します。

ナトリウムの反応
ΔrG−205.25 kJ/mol
K9.08 × 1035
pK−35.96
ナトリウムの反応
ΔrG−175.83 kJ/mol
K6.37 × 1030
pK−30.80
硫化水素の反応
ΔrG292.07 kJ/mol
K0.68 × 10−51
pK51.17
硫化水素の反応
ΔrG201.41 kJ/mol
K0.52 × 10−35
pK35.29

被酸化性化学種との反応

被酸化性化学種が反応すると,種々の生成物が生成します。

の反応
ΔrG107.4 kJ/mol
K0.15 × 10−18
pK18.82
の反応
ΔrG91.1 kJ/mol
K0.11 × 10−15
pK15.96
ヨウ化カリウムの反応
ΔrG617.93 kJ/mol
K0.55 × 10−108
pK108.26

酸化性化学種との反応

酸化性化学種が反応すると,種々の生成物が生成します。

塩素の反応
ΔrG93.062 kJ/mol
K0.50 × 10−16
pK16.30
酸素の反応
ΔrG233.56 kJ/mol
K0.12 × 10−40
pK40.92
塩素の反応
ΔrG163.31 kJ/mol
K0.25 × 10−28
pK28.61

電気分解

を電気分解すると,種々の生成物が生成します。

の電気分解
ΔrG474.258 kJ/mol
K0.82 × 10−83
pK83.09
2H2O
2H2水素 + O2酸素
の電気分解
ΔrG353.91 kJ/mol
K0.99 × 10−62
pK62.00

参考文献

参考文献一覧

  1. 1
  2. 2
    John R. Rumble Jr, David R. Lide, Thomas J. Bruno (2019)
    CRC Handbook of Chemistry and Physics 100th Edition
    CRC Press

  3. 3
    Janiel J. Reed (1989)
    The NBS Tables of Chemical Thermodynamic Properties: Selected Values for Inorganic and C1 and C2 Organic Substances in SI Units
    National Institute of Standards and Technology (NIST)

  4. 4
    Atherton Seidell (1919)
    Solubilities of Inorganic and Organic Compounds: A Compilation of Quantitative Solubility Data From the Periodical Literature
    D. Van Nostrand Company